イラン、国連による制裁の終了を宣言

Nuclear Engineering ウェブサイトより
Iran declares end to UN nuclear sanctions – Nuclear Engineering International

Iran declares end to UN nuclear sanctions
(イラン、国連による制裁の終了を宣言)

JCPOAの期限が切れた今、イランの核開発プログラムも
他のNPT加盟諸国のプログラムと同様に扱われるべき
だと、イランは断固として主張。IAEAによる査察は
今も限定的。
2025年10月28日

JCPOAの期限が終わりました。・・・というと、ただ
それだけの事のように聞こえるかも。「どうせ、2018年に
第1次トランプ政権下のアメリカが抜けたわけだし、
今更JCPOAに大した意味なんてないよ」とか。
でも、ある種のIAEAによる査察はJCPOAの定めて
いた規定で、それがなくなっちゃうと ・・・
無論、現場ではとっくにイランはIAEAによる査察を
制限しているのですが、JCPOAが期限切れになった
ことで、いよいよ誰にも把握されないままでイランの
核開発が進んでしまう危険性も。NPTの要求する制限は
ありますが、ご存じのように北朝鮮の先例がありまして ・・・
つまり、核技術や核物質がある程度揃った時点で、
NPTから脱退 ⇒ 独自に核兵器を製造、という
パターンですね。
(上の膨らみ過ぎた黒いメニューで、c-5) の
「2009年」の段落を参照)
北朝鮮に続いてイランもこのパターンをやらかした
場合、追随する第3・第4の諸国も登場してしまうかも。
そうなった場合、世界は核の悪夢におびえながら
暮らす場所に ・・・
そんなことにならないよう、祈ります!!

Kyrie, eleison!
私の、昔描いたボールペン スケッチ
東京・四谷の聖イグナティオ教会内部

そういったイランの動きについて、Nuclear Engineering
という核産業向けのウェブサイトに記事を見つけました。
日本で反原発派の皆さんの多くを見ていると、原発産業
向けのサイトや雑誌などを読みたがらないですね。でも、
そうした動向を知らないで、ただ「原発反対!」とだけ
叫んでいても、その時・その時の状況に応じた抗議活動は
できなくなって しまいますよ。

では、いつもどおり、
私の抜粋・要約・日本語化で紹介します。
原文は長いので、かなり抜粋しております。
しっかりと全文を読みたい方は、
上のリンクをクリックして元記事をどうぞ!
<  > 内は、私からの補足説明です。
**********************************************

イラン議会の議長Mohammad Baqer Qalibafは、
外交並びに国際法上でのイランにとっての大きな勝利を
主張した。ロシア、中国、ならびに非同盟諸国120か国が
国連安全保障理事会の決議第2231号の期限切れを支持し、
西側による <イランへの経済制裁の> 再開要求を
拒否したのだ。

イラン外務省が発表した声明によれば、10月18日に
国連安全保障理事会の決議第2231号ならびにJCPOAの
期限が切れたため、イランの核プログラムの扱いも、
核不拡散条約(NPT)の下での非核兵器保有諸国すべて
と同じ扱いとするべきだ。この期限切れ以降、イランを
拘束するのはNPTでの権利と義務のみとなり、それ以外の
制限は認識もされず課されてもいないとしている。

イランの核プログラムに対しては1979年以来、アメリカと
ヨーロッパが大掛かりな制裁を科してきている。
のちには、国連も制裁を始めた。核兵器開発の
プログラムではないか、との疑惑が生じたためだ。
こうした制裁は2015年に国連安全保障理事会の決議
第2231号によりJCPOAが定められ、P5+1諸国
(アメリカ、英国、フランス、ロシア、中国にドイツ)
とイランとがこのJCPOAに署名した時点で、制裁は
いったん解除された。このJCPOAの下でイランは
核開発プログラムに制限を設け、イランの核施設に
対するIAEAの査察をも受け入れた。

いち抜けた~~

だが2018年にアメリカがJCPOAから脱退、一方的に
イランへの制裁を再開した。
ヨーロッパ諸国もそれを暗黙の裡に承認した。その後
1年間交渉が続いたが実を結ばず、対抗してイランは
核プログラムを再開した。実りなき交渉はさらに幾年か
続き、今年の6月にはイスラエルとアメリカがイランの
核施設への爆撃を実施した。その結果、イランはIAEA
との関係を断絶、今もこの断絶は続いている。

決議2231とJCPOAとは、この10月18日に期限切れと
なった。だが英国、フランス、ドイツ(E3)はこの
期限切れに応じて制裁再開の規定をJCPOAに加えた。
IAEAによる査察を再度受け入れるようにE3はイランに
対して求めたのだが、イランがそれを拒否したことが
理由だ。ロシアと中国はこれに反対したのだが、
国連による制裁は結局、公式に再開された。

イランとロシア、中国が連名で署名した2つの書簡では、
この制裁再開は規定への違反とされている。
—- (中略) —-

Qalibaf 議長の発言によれば、決議2231の第8条によると JCPOAによる一切の制約と義務とは失効した
はずである。同議長によると期限内にあった決議内容は
すべて無効となったはずで、よってイランがU濃縮を
行う権利も正式に認められねばならない。したがって、
イランの核という問題は安全保障理事会の議題からは
消去されたはずである、という。

. —- (中略) —-

爆撃の後も、核は残る・・・

—- IAEAのラファエル グロッシ事務局長の今週初め
<10月27日ごろ> の発言によれば、6月の <イスラエル
とアメリカによる空爆という> 12日間戦争の後も
イランの核技術は残存している。<スイスのフランス
語新聞> Le Temps とのインタビューを見ると、
イランがU濃縮を続けることにしたと想定すると、
同国には今や核弾頭10個分に相当する高濃縮Uがある
ことになる。ただし、イラン政府には核兵器を
製造する意図があるとの証拠は皆無であるとも
グロッシは述べていた。

<イスラエルとアメリカによる爆撃の> イランの
核施設に及ぼした損害の深刻さについて尋ねられた
グロッシは、「主要施設であるイスファハン、ナタンズ、
フォルドウの損害は、深刻なものだ。だがトランプは
”全滅させた”と主張しているものの、イランの核技術
ノウハウまで消えたわけではない。・・・・
遠心分離機も、再建は可能だ。そして何であれ、
イランは今ものうしゅくUを保有しており、その中には
濃縮度60%のものも約400㎏含まれている。この濃度
だと、核兵器グレードの一歩手前だ」

グロッシはさらに、述べている。「これから濃縮を
続けるとすれば、イランは大雑把に言って核弾頭
10個分に相当する濃縮Uを手に入れることとなる。
ただし、イラン政府が核兵器製造を目指していると
いう証拠は、ない。 —- (以下略) —-

************************************

Just a 20-min croquis / 単なる20分クロッキーです
やれやれ、まだ残ってんじゃん~~
私の20分クロッキー
頭の「お団子2つ」は、ヘアーを丸くまとめたもの

核施設をぶっ壊したところで、再建は可能。
したがって、核物質がある限り、空爆で原子炉などを
破壊しても、相手の核兵器製造能力は残ってしまいます。
本気で核発電と核兵器を廃絶したければ、核物質を
監視するだけでなく押収までできる世界的機関が必要に
なるのでしょうね。爆撃機やミサイルでは、廃絶は
できないようです。

About FrancisH

A freelance painter, copywriter, and beading artist
This entry was posted in Uncategorized. Bookmark the permalink.

Comments are closed.