Ten Reasons To Reject Nuclear Power

上の黒いゴチャゴチャ メニューにあるページ v-1) で
紹介したように、アメリカのワシントンDC近郊に
本部を置く反核団体にBeyond Nuclearなる
グループがあります。
核兵器と核発電の両方の廃絶を求める団体で、この
2つの不可分性に気が付いている点で、目の付け所が
良いですね。

そのBeyond Nuclearのexecutive director、Linda
Pentz Gunterさんが最近、著作を出版なさったの
ですね。
No To Nuclear. Why Nuclear Power Destroys Lives,
Derails Climate Progress And Provokes War

という本です。
その本の付録として、主張の要点を10点に短く
まとめたものがありまして、大変的確かつ簡潔なもの
なので、日本語にして本「やかんをのせたら~~」で
公開してよいか問い合わせたところ、Lindaさんから
ご快諾をいただきました。

そんなわけで、以下にフライヤー全体の日本語化を
紹介しますね。

元の英語フライヤーをお読みになりたい方は、ここをクリック!
(* ジャンプ先のページはPDFですが、5月9日にブラウザーで
開いたところ、特に問題は発生しませんでした)

いつもどおり、私(ひで)の日本語化です。
日本語化だけが終わったところなので、その日本語
テキストだけを紹介します。

とりあえず今回は日本語化だけが終わった段階なので、
その日本語テキストだけを紹介しますね。
後日、マンガを入れたものを固定ページ v-2) として
アップロードします。
しばしお待ちを。

私のポストカード作品、Star Gazer

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Ten Reasons To Reject Nuclear Power
(核発電を拒絶すべき10の理由)

1.  核発電には、費用がかかり過ぎる
原子炉を新設するための費用は多くの場合、当初の
推定よりもはるかに大きくなる。当初予算の3倍にも
膨らむ場合さえあるのだ。つまり、既存の原発への
補助金であれ新設原発への投資であれ、再生可能
エネルギーや省エネルギー技術への投資から資金を
奪ってしまうため、そうしたより短期間で実現でき
費用も少なくて済む気候変動対策への妨害となって
しまうのだ。毎時1kWの発電量当たりに必要となる
費用を見ると、再生可能エネルギーによる発電コストと
比べ、新規原子炉による発電ははるかに高くつく。
既存の原子炉の稼働を続けるためのコストについても、
新規の再生可能エネルギーによる電気料金と比べ、
高くつく。小型モジュール原子炉(SMR)を採用する
なら、さらに高価な電気となってしまう。これは、
SMRは小型であるため大型原子炉と同じ発電量を得る
ためにはSMRを多数設置せねばならないためだ。
そのために必要な資材や製造工場に膨大な初期投資が
必要であるため、SMRは大型原子炉と比べ
スケール メリットに劣る。ある調査によれば、
200 MWのSMRを設置する費用は原子炉の建設費用の
約40%だが、発電量は約20%に過ぎない。
そのためSMRによる電気の料金は、大型
原子炉の場合よりも高くつく。

2. 核発電には時間がかかり過ぎる
技術が進歩しているとは言われているものの、原発の
新規建設にはかなりの期間を要する。平均で少なく
ても10年はかかる。それに加え、建設のための準備
作業にも5から10年を要する。安全性の評価、
環境関連や認可関連の作業、必要な資金調達の手続き
などだ。つまり、現時点で何らかの原発を新規建設
しようとしても、気候変動の緩和や炭素排出の削減の
ために何らかの意味ある貢献をするまでには、あまり
にも長い期間がかかるのだ。 現在の気候変動問題は
支給の対応を要求しており、数か所の原発の完成を
15年から20年、あるいはそれ以上もの期間に
わたって待っている余裕などないのだ。
もっと安価な再生エネルギーなら、
ずっと短期間で拡大できる。
2050年までに新規原発数千基を建設できるので、
炭素排出を大幅に削減できるなどと主張している
が、これはあまりにも非現実的だ。
これだけ急激な原発の新設など、原子力
産業の歴史に前例がない。さらに、原発の建設工期は
今までになく長くなっているのだ。またSMRは
現時点ではまだ、紙上の設計段階にある。そのため、
現在の気候危機に効果があるほどの量で近い未来に
実用化できることなど、ありえない。

3.「低炭素」というゴマカシ
原子力業界は ”ゼロ炭素排出”だと
息まいているが、そんなエネルギー源はあり得ない。
仮に核発電が低炭素ないしはゼロに近い炭素排出で
あったとしても、再生可能エネルギーと比べるなら
適切な選択ではない。再生可能エネルギーの方が、
同じ投資規模でより多くの炭素排出を削減できる
からだ。炭素排出が少ないエネルギー源であっても、
工事期間が長すぎたり費用がかかり過ぎたりでは、
気候変動緩和の妨害になってしまう。「すべての策を
採用する」とか「上述のすべて」といったアプローチ
も、実効性に欠ける。ある調査によれば、大型原発の
新設を計画している諸国は、気候変動緩和という点
での効果を失っている。再生可能エネルギーに投資した
ほうが、より大きな効果が得られるからだ。リソースは
有限である以上、それを時間がかかる、あるいはコスト
効率の劣る選択肢に充当してしまっては、再生可能
エネルギーのようなより効果的な選択肢で得られる
進展を逃してしまうことになる。

Hydrangea Phantasia III, upper part

4. 核発電は信頼性に欠ける
原子力業界の主張では、原発は常時稼働させられる
ので、「信頼性が高い」という。それに対し、
太陽光や風力は変動してしまうそうだ。だが現実には
原発は、定期検査や技術的あるいは安全面での問題の
ため、少なくても稼働可能期間のうち7%から12%は
停止していることが通常だ。一旦停止させた原発を
送電グリッドに再度接続することは、短時間では
できない。つまり、再生可能エネルギーに比べて、
核発電は柔軟性に劣るのだ。
気候面での極端な事態が発生した場合を、
考えてみよう。原発の中には放射性
物質が大量に存在しており原発はそれ自体が危険な
ものなので、停止させざるを得ない。これは、外部
電源や原発内部の非常用電源を喪失した場合、
メルトダウンに至ってしまう危険があるためだ。
気候変動による極端な高温の中では、原発の
冷却のために環境から水を取り入れる必要が
あるため、その環境中の水の
温度が高くなりすぎたり水位が低下すると、原発は
機能できなくなってしまう。これに対し再生
可能エネルギーはそれ自体は安全なものなので、
こうした問題を起こさない。つまり核発電とは信頼性が
高いとは呼び難く、気候変動の解決にもなりがたい。
実際には、気候変動が悪化するにつれて、原発は
単なる債務となっていくのである。

5. 核発電で、充分な雇用が生まれるわけではない
新規建設の原発が予定通りの工期で竣工できることは
望めないし、予算通りで完成できることも考えにくい。
また、建設そのものが見送られる場合もある。原発建設
で生まれるはずだった雇用も、結局は近い将来には
現実化せず、いつまでも発生しない危険性すらある。
原発の新設による雇用発生を待って無駄に費やされる
時間があるのなら、再生可能エネルギーのプロジェクト
に充てたほうが賢明だ。そのほうが工期も短いうえ、
サプライチェーンの発達も招き、各種の広範な部門に
長期的な雇用を、短期間で創出しうる。
原子力関連の雇用は、短期間のものが多い。つまり、
建設期間中だけなのだ。あるいは、原子力の専門的
職業である。つまり、その仕事ができる人員は、雇用

創出の約束を受けた立地市町村から選び出されるとは
限らないのである。

6. 核発電からは、死を招く長寿命の廃棄物が
どの原発からも、致命的なまでに有害で半減期も長い
高レベル廃棄物が生じる。それを人間が浴びることの
ないよう、何万年もの間遮蔽せねばならない。だが、
歴史上初めての放射性廃棄物が1942年に発生して
以来、そんな遮蔽の技術はいまだに見つかっていない。
地下に埋めて処分するための処分場は世界でただ
1か所、フィンランドにあるが、今も未完成で
あり、技術と倫理の両面で未解決の問題を多く抱えて
いる。放射性廃棄物の産出を続けるのは、ましてや
全世界でさらに核発電の開発を
さらに推進するというのは、無責任だ。この問題
そのものも、死を招く核廃棄物も、将来の世代に
残してしまうことになる。

“Narcissus”, upper part

7. 核発電は、人間の健康にとって有害
核発電のあらゆる段階ではイオン化放射線が出るが、
これは人の健康にとって有害だ。特に女性や子供は、
この害を受けやすい。放射線被ばくから人を守ると
いう問題を考える際、この被害の不均等性という
事実が考慮されたことは、稀である。アメリカの
放射線被ばくに関する基準は、いまだに健康な
20代・30代の白人男性をベースにしている。
これを、「基準人」(Reference Man)と呼んでいる。
しかも今では、そうした基準をさらに緩和しようと
いう動きが進行中だ。人口集中地区でも原発を
新規建設できるようにするためだ。

化石燃料を核発電に代えることにも、健康面での問題が
伴う。マーク ジェイコブソン(Mark Jacobson)教授
の試算によれば、化石燃料の代わりに原発を
新設する場合、原発建設には長い工事期間が必要に
なることが多いため、その待機期間中に「およそ9,300
万人が死亡することになろう」 これに対し、再生可能
エネルギーを導入すれば待期期間は原発の数分の一で
済み、この死者数は大幅に軽減できる。

8. 核発電は、人権を侵害
ウラニウム採掘鉱山や精錬工場、濃縮や処理の工場、
原発、廃棄物処理場の選定を見ると、リソースが
特に貧弱で抵抗できないコミュニティーに対する
差別的姿勢が浮かび上がる。核発電を行っている
諸国のほとんどはウラニウムを遠方の他国や先住民
地区から供給してもらっており、ウラニウム採掘に
従事した人々には保護も医療も適切な補償も
ないのだ。

核関連の業務は土壌や大気、水源などを汚染してきた
が、これらは生命を維持するための基本的な必要物だ。
核プロジェクトでは、先住民との契約への違反行為が
たびたびあった。西ショショーン
(Western Shoshone) 地域という
アメリカ先住民の居住地域にあるルビー ヴァレー
(Ruby Valley)には、アメリカ政府がユッカ
マウンテン(Yucca Mountain)核廃棄物処分場を
建設する計画であった。さらには、先住民にとっての
神聖な地である同地を、武力で強制的に没収するぞ
との脅しさえあったのだ。ほぼいずれの実例に
おいても、影響を被るコミュニティーとの相談もない
まま、彼らの土地が標的にされていたのだ。また予め
充分な説明を受けたうえで自らの意思で同意し、
あるいは「ノー」という権利が認められていなかった。
今後の新規核プロジェクトも引き続き、社会の底辺の
弱者を犠牲にしていくことであろう。原子力業界には
植民主義的な体質が深く根付いており、グローバル
サウスなどにある遠隔の土地を奪い取っては西側の
エネルギーに対する貪欲を満たすのである。

“Azalea Way II”, upper part

9. 核発電は危険すぎる
事故などがあれば大がかりな破局と大規模な被害を
もたらし、しかもその害は長期間に及ぶ。そんな
危険性を抱えたエネルギー技術は、核発電だけだ。
大規模の原発事故が発生すればどれだけ深刻な
健康と環境への被害が及ぶかは、我々はすでに
3回にわたり知るところである。アメリカの
スリーマイル アイランド原発、ウクライナの
チョルノービリ(チェルノブイリ)原発、そして
日本の福島第一原発だ。原発でのニアミスや
事故寸前といえる事態、部分的な
炉心のメルトダウン、放射性物質の漏出などが、
原発やウラニウム鉱山や精錬工場、再処理工場、
核廃棄物保管施設などでは発生してきた。

現在、ウクライナとイランの戦闘地域
では無謀にも原発が戦闘の影響を被っている様子を、
我々は目にしている。
大規模の事故が発生した場合のコストも、天文学的な
数字になる。例として、チョルノービリ原発の爆発に
よる被害総額はすでに推定で7,000億ドルに達して
おり、福島第一原発の事故による被害総額は、除染
作業や被害者への補償・賠償コストすべてを計算に
入れると、5,000万ドルを超える可能性がある。

10. 核兵器につながる道
ウラニウム-235は、原子炉燃料の材料でもある。その
濃縮度が5%未満であれば、「平和利用」とされる。
一方で90%以上になると、核兵器グレードとされる。
つまり、どのような国であれ「平和利用」の核発電
プログラムを進めている国は、核兵器を開発できる
だけの技術とスキルと材料とを保有していることに
なる。平和利用プログラムから核兵器へと至る道を
さらに歩みやすくしてしまっているのが、核不拡散
条約(NPT)にある欠陥だ。核兵器を持たないと
宣言した加盟諸国には、核エネルギー開発を行う
「不可侵の権利」を認めてしまっているのである。
つまり核発電は核兵器意を持たないという約束に
対する「代償のご褒美」になっているのだが、
そのため核発電プログラムが核兵器開発に至って
しまう危険性の扉は、常時開いてしまっている
ことになる。なにしろ、核兵器の保有をその国の
「格の高さ」と見なしてしまう誤った認識も、
世界にはあるのだ。だからこそ、イランがすでに
核兵器を開発しているのか、それとも今後そうする
計画なのか、だれにも分かっていないのだ。核の
「平和利用」技術が世界的に輸出されている限り、
さらに新たな諸国が核兵器を開発してしまうリスクは
存在し続けるのである。
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“Anemone Sacrament”, upper part

核発電の危険性を簡潔に網羅説明してくれて
いますよね。
日本の反原発の立場の方々と話していると、上記の
6、7、9ばかりに関心が集中してしまっており、
1、2、4のような経済・産業的側面や、現在重大な
問題である3に関する現実の調査、そしてもっとも
破壊的な危険性である10の ”具体的な話” があまり
聞こえてこないことが多いのですね。10の話が
あっても、「どことなく、つながっている」と
いった漠然とした話が多く、具体的・技術的な側面や
現実に発電 ⇒ 兵器とつながってしまった実例に
ついては言及が少ないのですよ。
それで私(ひで)は、この「やかんをのせたら~~」を
始めたわけです。

エラそーな口を叩くようですが、日本の反核(兵器も
発電も)運動は、基本的なあり方を改めるべき時期に
来ていると、私は見ております。その際、このBeyond
Nuclearさんの活動など、参考になるのでは?

ただ、この「翻訳」のままですと、日本語読者には
あれこれ説明不足な点があると思います。(もともと
アメリカの英語読者向けのテキストなので)
そこで、例によって <訳者からの補足説明> や
マンガを作成して挿入したものを、近日中に新たな
ページ v-2) としてアップロードしますね。
しばしお待ちくださいな。アップロード次第、
ここでお知らせしますので。

About FrancisH

A freelance painter, copywriter, and beading artist
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