ページ t-0) に追記

t-0) (トリチウム) トリチウムの何についての話か?
に、追記を加えました。
上の黒いメニューでは項目を基本的にアルファベット順で
並べていますが、そこで t-0) を見つけてクリック!

本「やかんをのせたら~~」では、福島第一からの
トリティウム水放出問題についてはあまり触れておりません。
それは、なぜか??それを説明しております。

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ロシア側の主張

ザポリージャでもクルスクでも、
暗躍しているのだ誰なのか、
IAEAはハッキリといってしまえと
Rosatom

たまにはロシアの通信社Tassの報道
も紹介しておきましょう。
Rosatom wants IAEA to say out loud who is behind Kursk, Zaporozhye NPPs attacks – Russian Politics & Diplomacy – TASS

こう言うのだ ・・・

Military operation in Ukraine
<↑ いまだに military operation と
呼んでいる点にも、ご注意>

2024年9月7日

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
***********************

ROSATOM wants IAEA to say
out loud who is behind Kursk,
Zaporizhye NPPs attacks

<ROSATOMの> Alexey Likhachev
CEOは、ロシア側が絶えずきめ細かに
事実の提示を行うと約束、ザポリージャ
原発とクルスク原発でのあらゆるリスク
を客観的な出来事との関連で説明した。

あいつらがやったんだ!
でも、「あいつら」って、だれ??

カリーニングラード発、9月6日、
TASS通信
ロシアのものである原発に対する脅威
について、IAEAは事実を記録できる
だけでなく、原発への軍事攻撃を仕掛け
たのはだれかについても公表できるはず
だと、RosatomのCEO Alexey
Likhachev氏は述べた。IAEAの
ラファエル グロッシ事務局長との会談
の後でのことだ。

「もちろん、我々としても今聞いている
以上の情報をIAEAから聞きたいと望ん
でいる。原発が被った損害も修復、また
攻撃を実施した者たちによる蛮行に
ついての情報だけではなく、そうした
脅威をもたらしている無法者がだれ
なのか、原発への軍事攻撃を仕掛けたの
はだれなのかも知りたいのだ」と
Likhachev は述べた。

彼はロシア側が絶えずきめ細かに事実の
提示を行うと約束、ザポリージャ原発と
クルスク原発でのあらゆるリスクを
客観的な出来事との関連で説明した。


こんな言葉、聞きたくない~~
Argument V — Logophobia
私の作品、紙にオイルパステル

Likhachev がさらに指摘したところで
は、ウクライナはザポリージャ原発の
冷却塔に放火したのはロシア側だと
主張していたが、IAEAの関与のおかげ
で、このウクライナ側の主張が虚偽で
あったことが明らかになった。実際には
8月11日にウクライナ陸軍が攻撃した
ものだ。<← あくまで、ロシア側の
主張ですよ> 「私としてはIAEAには
8月11日のザポリージャ原発 <ZNPP>
への攻撃があったという困った事実に
着目していただきたい。 みなさまも
ご存じのように、<この原発の>
冷却塔に攻撃があり、さらにウクライナ
当局はそれをロシアが自国の原発を破壊
しようとして <もちろん、ザポリー
ジャ原発はウクライナの施設ですが、
ロシアはザポリージャ州を併合したので
同原発はロシアのものだと主張している
わけですね> 意図的に行ったと主張
していた。タイヤに火がつけられたの
だが、ゼレンスキー大統領のレベル
での話し合いがあって、・・・  実際
にはIAEAの使節団の協力のおかげで、
そうしたウクライナの主張のウソが
暴かれたのだ」と、RosatomのCEO
は結論付けている。

Likhachev とグロッシの会談はカリー
ニングラードで行われた。ロシア側の
参加者としては、外務省、国防省、
連邦環境サービス、技術・核監督、
国家防衛隊、そしてRosatomの代表者
たちであった。主な話題としては、
ザポリージャ原発とクルスク原発の
安全が議題となった。

**********************************

で、あちらはどうなってるの??
painting, Feb 13, 2019

そのクルスク原発の現状について、
IAEAからの発表をずっと待っているの
ですが、9月9日朝 JST現在、まだ
見当たりません。見つけ次第、紹介
しますね。

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IAEA、イランとの核合意再建を目指す

Voice of Vietnam (ベトナムの国営
ラジオ)のウェブサイトより

IAEA hopes to revive nuclear deal with Iran (vovworld.vn)

2024年9月3日の記事より

ロシアのクルスク原発の現状については
IAEAからの発表がまだ見当たりません。
(9月7日 JST)
見つけ次第、ここで日本語化し
紹介しますね。

今日のところは、イランと西側の核合意
の再建をIAEAが望んでいる、という
記事です。

できるだけ中立的な立場からの記事を
求めて、ベトナムの国営放送のウェブ
サイトから。

忙しそうねえ~~
私の10分クロッキー


それにしても、グロッシさんはほんと、
大忙しですね!
そもそも、「核の平和利用」という
旗の下、本来は核兵器製造のための
装置であった原子炉に「やかんを
のっけて」発電をし、普及させよう
とした愚行そのものが問題なのですが
~~

では、いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
***********************

もう一度 ・・・
私の20分クロッキー
男性のモデルさん

IAEA hopes to revive nuclear deal
with Iran
(イランとの核合意、IAEAは再建を望む)

IAEAのラファエル グロッシ事務局長
が、包括的共同行動計画(Joint
Comprehensive Plan of Action、
JCPOA)として知られる <西側と>
イランとの核合意の再建を望んでいる
ことを表明したと、イランの通信社
Mehrが報じた。

この核合意を再建することでイランの
核活動を平和目的に確実に限定する
ことの重要性を、グロッシは強調した。
同事務局長によれば、イランの
新大統領マスード ペゼシュキアン
からグロッシに反応があったとのこと
で、イランの核開発プログラムの
透明性を高め協力を進めるための対話
の再開の可能性を示唆する事実かも
しれない。

イランは核能力を高めており、透明性
と協力を高めることの必要性を
グロッシは強調している。

さらに同事務局長は、予定されている
イラン訪問によって建設的な交渉の
道が整い、具体的な成果が得られる
ことを期待していると希望を述べて
いる。
****************************************

道を切り開けるのかしら~~
私の20分クロッキー

では、クルスクからの情報が見当たり
次第、日本語化して紹介しますね。

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ATFについて調査中

現在、Accident-Tolerant Fuels (ATF) つまり
「LOCAなどの事故に強い」とされる新型核燃料に
ついての短い調査をしております。

どうも、
新型原子炉の導入建設には、費用も工期も
かかる

既存原発の再稼働を進めたい

原子炉を改良せずとも、核燃料の改良で
安全性を高めれば ・・・

という意図が見え見えですよね。

LOCA ⇒ メルトダウン事故、という
パターンばかりに衆目が注がれていると、
それ以外の危険性 (たとえば、proliferationとか)
が見逃されてしまいがちです。

そうした視点から、短い調査を進めております。

完了次第、新たな固定ページとして発表しますね。
しばし、お待ちくださいませ。

上にも目を向けてよ・・・
私の点描練習

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IAEA調査団、クルスクへ

IAEAのウェブサイトより

IAEA Director General Statement on Kursk Nuclear Power Plant | IAEA
2024年8月26日の記事より

ロシアのクルスク原発に関するIAEA
事務局長の声明

話題になっている問題で、当然IAEAの
ウェブサイトも扱っています。
それを紹介しますね。
件のクルスク原発はロシア連邦共和国
西部のクルスク州にある原発で、稼働
可能な原子炉はRBMK-1000が2基。
この州はウクライナと国境を接して
おり、現在の戦争の舞台の一部となって
いることはご存じのとおりです。

きわめて大雑把な外観

↑ クルスク原発の大まかな外観
細部はかなり不正確です

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

***********************
IAEA Director General Statement on
Kursk Nuclear Power Plant
(IAEA事務局長によるクルスク原発に
関する声明)

2024年8月26日
78/2024
オーストリア、ウィーン発
<クルスク原発の> 深刻な状況を鑑み、
私 <ラファエル グロッシ> は自ら
ロシア連邦にあるクルスク原子力
発電所(KNPP)へのIAEAの派遣
使節団を指揮している。

IAEAにとって、あらゆる原発の安全性
とセキュリティとは中心的で根本的な
課題である。

KNPP周辺では軍事活動が激化して
おり、新たな展開も見られるため、
私は同地の地上での展開をつぶさに
観察している。特に、同原発が関与
する動向だ。IAEAの任務は核の
利用を平和目的のためのものとする
ことであり、その任務の遂行を求め
られた場合には、IAEAが間違い
なくその場にいることが必須だ。

さらに、核施設の安全性とセキュリティ
に関する独立系機関としての評価が
求められている場合にも、IAEAが
そこにいる必要がある。IAEAが情報
を検証できるには、現実に何が起きて
いるのかを独立機関として確認・検討
できることが必須だ。

繰り返して申し上げるが、いかなる場合
にも核施設の安全とセキュリティとを
侵してはならない。クルスクの状況は
変化を続けており、明日私は現地に
到着次第、現場を直接に視察し今後の
対応活動のあり方を話し合うことが
必須だ。KNPPの核安全性やセキュ
リティを検討・判断するためには、
どのような活動をすべきなのかを
考えるのである。

戦闘時における核安全性に不可欠な
7本の柱(https://www.iaea.org/topics/response/nuclear-safety-security-and-safeguards-in-ukraine)ならびに具体的な5原則(https://www.iaea.org/newscenter/statements/iaea-director-general-statement-to-united-nations-security-council-30-may-2023
を順守することが必須である。これらは
いずれも本来はザポリージャ原発の保護
のために定めた指針であるが、どの
ような原発にも適用できる。.
**********************************

不安・・・
私の20分クロッキー

さて、実際に現場を視察して、どの
ような報告があるのか?
それはまた、IAEAから発表があり
次第、日本語化して紹介しますね。

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核ゴミなどの輸送に伴う放射性物質汚染の危険性

Beyond Nuclearウェブサイトより

アメリカでDOEが放射性廃棄物など
の輸送に伴う危険を軽視している、
というBeyond Nuclearからの報告です。
・・・というと、「なんだあ、日本には
関係ないや」といった反応が容易に期待
されるのですが、日本と英国やフランス
の間では使用済み核燃料の処理物が海上
輸送されてきましたよね。もしそうした
船舶の沈没などあれば、その汚染の
深刻度は福島第一からのトリティウム水
放出どころでは済みません。そんな
深刻なリスクを抱えたまま、核発電は
営まれてきているわけですね。

海底でギョギョ!

英語の元記事を読みたい方は、下記へ:
DOE keen to downplay Mobile Chornobyl risks, yet again – Beyond Nuclear

2024年8月22日

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
文字色変更による強調は、私による
ものです。

DOE keen to downplay
Mobile Chornobyl risks,
yet again

(輸送によるチョルノービ [チェルノ
ブイリ] 発生のリスクを、DOEは
またもや無視必死に軽視)

元記事では冒頭にアメリカ本土に
張り巡らされている核物質輸送ルート
の地図があり、その説明から始まって
います。

あの列車を爆破すりゃ、巨大なダーティボムだ

******************************
[元の英語ページにある地図: 上の
地図は西部諸州エネルギー局(The
Western Interstate Energy Board、
WIEB) が2020年11月に、
Interim Storage Partners, LLC (ISP)
Draft EIS <「核物質中間貯蔵
パートナー」という合弁事業> に
関する正式な公的コメントとして
提出したもの。テキサス州アンド
リューズ郡にあるWaste Control
Specialists, LLC<という企業> を
対象とする高レベル核廃棄物の統合
中間貯蔵施設 (consolidated interim
storage facility、CISF)の計画がある
のだが、原発で中性子線を浴びた
核燃料をその施設まで輸送するための
鉄道路線を示している。WIEB では
DOE <連邦エネルギー省> 自身の
コンピューター モデルを利用、
もっともありえそうな輸送ルートを
判定した。ISP社とアメリカ原子力
規制委員会(NRC) とは、この経路を
隠ぺいしようと死力を尽くしていた。
これは鉄道路線近辺に住まう住民たちの
警戒を防止するためであり、しかも
そうした住民の間では低所得層や
アフリカ系住民、アメリカ先住民、
有色コミュニティの比率が異常に高い。
ISP社のわずか40数マイル<約70㎞>
西にあるHoltec社のCISFに至る経路
も極めて類似しており、やはり厳密な
秘密として扱われてきている。

DOEから奇妙なEメールが・・・

{アメリカ東部時間で2024年8月22日
午前11時に入った速報: DOEは
「ウェビナー: DOEのパッケージ
パフォーマンス デモンストレーション
(PPD) <下のピンクの個所を参照>、
情報要請 (RFI) ー 主な視点と次の
ステップ」の発表をした。2024年8月
27日火曜日の午前11時から正午
(アメリカ東部時間)に開かれる。予め
登録が必要。この情報ウェビナーに
ついての詳細は、hereをクリック}

下記にEメールを紹介するが、これは
アメリカ エネルギー省(DOE) の
核エネルギー オフィスの使用済み核燃料
と高レベル核廃棄物の処分担当 (Office
of Nuclear Energy/Spent Fuel & High-
Level Waste Disposition) が今年7月
31日に、同オフィスのEメール リストの
登録者たちに送信したものだ。もっとも、
このEメール リストは Consent-Based
Siting<合意に基づく貯蔵施設の立地
選定> という歌い文句を掲げてはいる
ものの、現実にはジョージ オーウェル
<の1984という小説に登場する
ような> 偽りの文句に過ぎない。

もう何十年もDOEは、高レベル放射性
廃棄物の輸送に伴う深刻なリスクを
小さく見せようと努めてきた。そうした
廃棄物としては、章用原子炉で中性子線
を浴びた核燃料も含まれる。DOEだけ
ではなく、NRCや核発電業界、その
賛同勢力などもそうだ。

環境保護や環境での公正を求める諸団体
はその間、抗議活動を展開してきている
のだが、ネヴァダ州の核プロジェクト庁
the State of Nevada Agency for Nuclear Projects )
もそうだ。ネヴァダ州の西部ショション
という地域のユッカ山に、全米の
核廃棄物を貯蔵しようという目論見が
あるためだ。つまり、<この目論見が
実現してしまえば> アメリカの
高レベル核廃棄物はすべて、ユッカ
経由でネヴァダ州を通過すること
になる。

ここで核実験を再開するのだ~~

良いニュースとして、倦むことなき
強烈な抵抗運動のおかげで、このユッカ
廃棄施設は今のところ廃案とされて
いる。だが共和党は今も、この目論みを
復活させようとしている。その実例と
してドナルド トランプがおり、
ヘリテッジ財団による「プロジェクト
2025」もそうだ。このプロジェクトは
ユッカ マウンテン プロジェクトを再開
しようとしているだけでなく、すぐ隣の
ネヴァダ核実験場での大規模核兵器実験
の再開すら目論んでいるのだ。この
実験場での最後の大規模核実験が行われ
たのは、1992年の9月のことであった。
ただし臨界前実験(強度の爆薬の中に
プルトニウムを混ぜたものを使う)は
今も続いているのだが。そうした実験
から収集したデータはスーパー
コンピューターに取り入れ、核兵器の
設計の「発展」のために利用され
ている。.

アメリカ原子力規制委員会は何十年も
昔、本格的な規模のパッケージ
パフォーマンス デモンストレーション
<高レベル放射性廃棄物などを格納
した輸送用キャスクなどが交通事故に
あった場合の被害結果などを実証する
実験> を提唱していた。各種環境
保護団体が連合して、この企画
プロセスに参加しようとしたのだが、
応じてもらえなかった。何か月・
何年もの一般市民の参加を経たうえ
で、NRCはその要請を断ったのだ。
その理由も不明である。.

「乾式」貯蔵用のキャスク、一例
再掲

言うまでもなく我々環境団体や反核
団体の連合が再度関与すべきである。
DOE(と核業界とNRC) は、使用
済み核燃料や高レベル核廃棄物の
輸送に伴う深刻なリスクを小さく
見せようとするプロパガンダに努めて
いるため、それを監視し対抗すると
いうだけでも、充分な必要性がある。

DOEによる2024年7月31日付
Eメールの本文 ↓

DOEでは、使用済み
核燃料の輸送の安全性
デモンストレーションに
関するご意見を募ります

情報公募は、2024年
9月30日まで

アメリカ エネルギー省 (DOE) では
情報公募(request for information、
RFI)を開始、以前から提唱している
パッケージ パフォーマンス デモン
ストレーション(package performance
demonstration、PPD)に関するご意見
や情報を公募しております。この PPD
は、いくつか事故状況を想定し、
そうした場合での使用済み核燃料輸送用
キャスクの堅牢性を実証することが
目的です。.

深刻な事故のシナリオをシミュレー
ションすることで、使用済み核燃料を
運ぶ鉄道や大型トラック、貨物船など
の安全性と信頼性とを、社会と関係者
とに実証することが狙いです。

DOEでは 広く関係者の皆様からの
ご意見や情報を募集しており、そう
した関係者としては政府の協力機関、
一般市民、核産業の専門家の皆様、
サプライヤーとなる候補各社の皆様
などが挙げられます。

Behind the Masked Smile
(マスク下の微笑みの裏に)
私の作品、紙にオイルパステル

主な目的

  • 社会の信頼を得る:今回の
    PPD では、鉄道や大型トラック、
    貨物船で使用炭核燃料を輸送
    する安全性に対する一般社会の
    懸念を払しょくすることを
    意図しています。
  • 包括的な意見や情報の収集:
    今回、どのような本格的デモン
    ストレーションを実施すべきか、
    どのような使用済み核燃料
    輸送用キャスクを選ぶべきか、
    試験用施設の候補、PPDで
    得られた情報をどう利用
    すべきか、といった問題に
    ついて、関係各位からの
    フィードバックを求めて
    おります。
  • サプライヤーの関与:この
    PPDに必要となる機器類や
    サービスのサプライヤーとなる
    候補各社に対し、DOEでは
    詳細な情報提供を求めており
    ます。そうした例としては、
    キャスクのベンダー、試験用
    施設、計測装置のプロ
    バイダー、ヴィデオ解析
    サービスなどがあります。

ご関心がおありの皆様は、その旨を
電子的手段でご提出ください。
2024年9月30日午後6時(アメリカ
東部標準時)までにお願いします。

RFIへ寄せられたご意見や情報はPPD
の設計に活用、PPDが社会の懸念事項
に的確に対応し、使用済み核燃料輸送
キャスクの安全性を実証できるように
します。.

DOEでは合意に基づく場所選定
プロセスを採用、アメリカの使用済み
核燃料の中間貯蔵施設の立地を決定
しております。そのため、70か所以上
ある原発からの使用済み核燃料の
大規模輸送も必要になります。その
主な輸送手段は鉄道になります。

DOEでは社会への働きかけと関与活動
を拡大する計画で、その一環として
ウェビナーや聞き取り、作業グループ
などを実施、使用済み核燃料の輸送に
関する社会の認識を強めてまいります。

RFIに関する詳細やご意見や情報の
送り方に関するお問い合わせは、
FedConnect listing. をご覧ください。
******************************

20-min croquis + background added later / 20分クロッキー + 後で背景
Standing firm
私の20分クロッキー

核輸送列車の警備をどのように固めた
ところで、バズーカとか使った
武装テロ集団の襲撃などあったら??
あるいは日本の場合のように長距離で
海上を輸送する場合、海賊の襲撃が
あったら??「核廃棄物輸送船を、
海賊がシージャック」なんて、笑って
られませんよね。
使用済み核燃料が大量に日本沖に沈んだ
場合、その汚染の度合いは、福島第一
からのトリティウム水放出(もちろん、
これも深刻な問題ですが)の比では
なくなる恐れも。。

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ザポリージャ原発についての、 IAEA事務局長からの報告

ザポリージャ原発についての、
IAEA事務局長からの報告

Update 243 — IAEA Director General
Statement on Situation in Ukraine

2024年8月12日
オーストリア、ウィ―ン発

Update 243 – IAEA Director General Statement on Situation in Ukraine | IAEA

Beyond Nuclear Bulletinの2024年
8月16日号に紹介されている、
ザポリージャ原発の現状に関するIAEA
事務局長からの報告を。
8月11日に同原発の冷却塔で火災が
発生したのですが、その現地調査に
関する報告です。

なお、原発の「冷却塔」については
上の黒いメニュー(項目は基本的に
アルファベット順)で 付録 w-12) 
を参照特に、上から5番目の
略図

たこ焼き屋さんで火事??
そんなバカでっかいもん、焼くからや~~

いつもどおり
私の日本語化
<  > 内は私からの補足説明
で紹介しますね。

*********************

ウクライナのザポリージャ原発(ZNPP)
に配置されているIAEA(International
Atomic Energy Agency) (IAEA) 職員
たちは本日、同原発の冷却塔を視察、
昨日発生した火災の影響を調べた。
<8月11日、この原発の北西部で濃く
暗い煙が発生、それに先立ち夜通し
複数の爆発音が響いていたそうです。
本日(12日)入った情報では、原発
の冷却塔の1つに対してドローンに
よる攻撃があった模様。事務局長の
ラファエル グロッシが確認した
ところでは、原発の安全に対する
影響はないそうです>

この火災の影響を直ちに調査せよとの
要請に応じ、IAEAのザポリージャ
サポートと支援ミッション(IAEA
Support and Assistance Mission to
Zaporizhzhya、ISAMZ)が今朝、
その冷却塔周辺に入った。現場の観察
の結果として、今回の火災の主な
出火元がこの冷却塔の基底部にあった
とは考えにくいそうだ。ラファエル
グロッシ事務局長の話による。

つまり、下から出火したんやなくて、
上から攻撃された??

上記チームはこの冷却塔を査察して
いた間に、火災の損害が冷却塔内部の
水ノズルの配水レベルに集中していた
可能性が高いと判断した。<地面
から> 10m ほどの高さの位置だ。
そこでチームはこの水ノズル配水
レベルを調査したいと要請した。この
レベルに該当する階の床を、
コンクリート製の土台柱から監察
できた。さらにチームは冷水槽の中も
観察したが、これは冷却塔の底部に
ある。この冷水槽の調査をも要望した
のだが、この2つの場所にチームが
入ることは、本日の現場調査では許可
されなかった。安全面での懸念のため
である。

この被害を受けた冷却塔の現場を調査
している間にチームが観察したところ
では、水ノズル配水レベルに近い高い
位置にある内部設備に、焼け焦げた
箇所を発見した。さらに冷水槽全体に
燃えたプラスティックの小滴や崩れ
落ちたコンクリートの破片が散乱して
いた。このチームの判断では、こう
した小滴の存在は、この火災によって
プラスティック製のメッシュが溶け
落ちたことによるものであろう。燃え
溶けたプラスティックも含む破片の
サンプルを収集した。この火災で発生
し長時間続いている異臭もこのチーム
が検査したが、硫黄臭が見当たらない
ことからプラスチックの燃焼によって
生じた可能性が高い。

チーズの焦げた匂いが ・・
チーズたこ焼きやったんやな

この現地調査では、タイヤやドローン
の破片などは見つかっていない。

冷却塔の底部にあった破片や灰、スス
には攪乱などを受けた充分な形跡は
見当たらなかったことを、チームは
確認している。

この冷却塔は現在のところ使用されて
いないため、この原発の核安全性には
影響はない。この原発では、冷却塔は
原子炉の冷却メカニズムの一環として
必要とされてはおらず、原子炉は
いずれもコールド シャットダウン状態
で停止している。今回の冷却塔とその
周辺では放射性物質は検知されて
いない。ZNPPでは冷却塔地区は、
原子炉のある地区から約1.5km離れて
いる。チームは冷却塔地区と原子炉
地区とで放射線モニターを行ったが、
放射線レベルの冗長は検出され
なかった。

さらに情報を集め判断の根拠の真実性を
確認するため、ISAMZチームでは、
ZNPPのチームが水ノズル配水レベルの
上部を写真撮影する際に同伴することを
要請した。

現時点までの発見事項や観察内容から
だけでは、チームは最終的な結論を下す
ことができていない。IAEA では今後の
検討や水ノズル配水レベルと冷水槽での
現場調査を踏まえ、全体的な分析を
続けていく。
***************************

何の音だ??
私の20分クロッキー
男性のモデルさん

ザポリージャ原発については、
今後も動きがあり次第、
紹介してまいります。

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久しぶりにBeyond Nuclear Bulletin より。 広島・長崎 VS 日本政府

Beyond Nuclear Bulletin

2024年8月8日号

久しぶりにBeyond Nuclear Bulletin
より。
広島・長崎では今年も平和祈念式典が
行われましたが、肝心の日本政府は
「秘かな核兵器への食指」を実は
伸ばし続けている、という記事です。

元の英語記事を読みたい方は、
Remembering Hiroshima and Nagasaki – Beyond Nuclear
をどうぞ。

私の日本語化を、この下に。
例によって、< > 内は私からの補足
説明です。

太平洋の両側からにらまれている ・・・

なお、下の論考の主張は単に「アメリカ
の反核団体の主張」ってわけじゃなくて、
たとえば日本の元官僚である古賀茂明
さんも似たような問題指摘をなさって
らっしゃいます。
広島「原爆の日」の演説でわかった岸田首相の“核兵器依存” もはや日本は「平和の使者」ではない 古賀茂明 | AERA dot. (アエラドット) (asahi.com)

***********************************
Remembering Hiroshima and Nagasaki
2024年8月7日

今週、広島と長崎では祈念式典が開催
されたが、世界では核の脅威が拡大を
続けているが、核軍縮の道を「進み
つづけねばならない」と日本の岸田
文雄首相は繰り返し述べた。この発言
があった背景として、日本は核発電の
産物として蓄積したプルトニウムを
大量に有しており、核兵器を短期間で
開発することも可能だ。これは一般に、
日本の「隠れた核兵器(bomb in the
basement)」として知られている。

Made-in-Japan nuke missile

昨年、アメリカの前国務長官ヘンリー
キッシンジャーが述べたところでは、
日本は「5年以内に核兵器保有国に
なろうとしている」そうだ。今週の
発言で岸田は、日本は「核兵器なき
世界の実現を目指して努める」と
主張してやまなかった。だがそうした
主張とは裏腹に、核兵器禁止条約
(Treaty on the Prohibition of Nuclear
Weapons)に日本はまだ署名して
いない。

その一方、世界の核兵器保有諸国は
核軍縮に努めるどころか、核兵器の
増強に努めているようだ。「1945年
8月にアメリカが落とした原爆による
広島と長崎での失われた命を我々は
偲んでいるのだが、現実の世界が
今までにはないほど核戦争の一歩手前
にあるという事実は、否定しようが
ない」 今週のBeyond Nuclear
International
にそう記しているのは、
CND <「核軍縮キャンペーン」
Campaign for Nuclear Disarmamentと
いう反核団体> の事務総長Kate
Hudsonだ。「人類にとってだけで
なく、地球上のあらゆる生命にとって、
苦渋の時代になっている。立ち
上がって核はいっぜつを叫ぶべき時代
なのだ。核のアルマゲドンに引き
込まれるのは、ごめんだ」

ワシントンDCの大都市圏では毎年、
アメリカ首都地区広島長崎平和委員会
(Hiroshima/Nagasaki Peace
Committee of the National Capitol
Region)が追悼式典を実施している。
中心街で夜通しの式典があるのに加え、
今年はオンラインのイベントも開催
され、そこでのスピーカーとしては、
チェスピーク社会的責任を有する
内科医連合(Chesapeake Physicians
for Social Responsibility)のGwen
DuBois、Beyond Nuclearの Linda
Pentz Gunter、平和と自由のための
国際女性連盟(Women’s International
League for Peace and Freedom)の
Fan Yangであった。このオンライン
イベントを主催したのはJohn
Steinbachだ。このイベントのハイ
ライトの1つとして、広島原爆の
サバイバーHideko Tamaraのお話が
あり、これはYouTubeでご覧いただ
ける。

Tulips / チューリップ
原文にはTamaraとあるのですが、
Tamuraの誤りでしょう。
私の、昔の作品。
紙にオイルパステル

その他にも協力してくれた面々
として、Melvin Hardy, Dennis Nelson,
Ellen Thomas, James Wagnerがいた。
Hardyのお話によれば、 All Souls
Church Unitarian <というキリスト教会>
の子供たちが広島の子供たちに画材などを
送り、広島の子供たちの一部が絵を
All Soulsに返したそうだ。・・・
中略 ・・・ それから何十年か後に
All Soulsの人たちがその絵画を持って
広島を訪れた。描いた人たちと会う
ためだ。この感動的なストーリーは、
Pictures from a Hiroshima Schoolyard,
いう映画でご覧になれる。

カナダのトロントでは、広島と長崎の
原爆投下を覚え写真100点を展示した
展覧会が開催された。そのうち5点は
投下当日に広島にいた唯一の日本人
写真家が撮影したものだ。展示写真は
いずれも、オンラインでも見ることが
できる。この写真店に関する記事が、
Beyond Nuclear International.にある。
************************************

国境を越えて

ご存じの通り、マンハッタン計画は
アメリカ合衆国だけのプロジェクト
ではなく、カナダや英国も加担して
いましたよね。いずれの国において
も、核兵器に反対する市民の皆さんは
多数いらっしゃいます。国境を越えて
そうした方々と協力・連動していきま
せんと。どこの国でも、政府と一般
市民の間には、かなりの隔たりがある
ものです。
日本の場合でも、市民の多くはこれ
だけ核兵器廃絶を叫んでいるのに、
政府は潜在的核兵器保有への固執を
やめようとしません。当然、核発電に
もしがみ続けていますよね。

これからの反核運動では、「アメリカ
が落とした」、「いや日本を早く降伏
させるためだった」といったタテ型
(国別)構造ではなく、横型のcross-
borderな構造・動きが必要だと私は
見ております。

そうした意味で、Beyond Nuclear
Bulletinにsubscribeすることを
お勧めします!
Remembering Hiroshima and Nagasaki – Beyond Nuclear
のページ下部に連絡フォームがあり
ますので、英語でBeyond Nuclearに
ご連絡を!

Posted in Uncategorized | 久しぶりにBeyond Nuclear Bulletin より。 広島・長崎 VS 日本政府 はコメントを受け付けていません

Ramana博士、IAEAの raison d’etre に宿る自己矛盾を指摘

CounterPunch (アメリカに本拠を置く
オンライン雑誌) より
More Nuclear Reactors? Deceptive Tunes from the Pied Piper of Vienna – CounterPunch.org

IAEAのラファエル グロッシ事務局長、
ここ数年、大忙しですよね。
ザポリージャ原発、イランの「軍事
目的としか思えない」高濃縮U、北
朝鮮の核武装とそれに対抗しての
韓国内での核武装論の高まり ・・・

半分スカート、半分パンツって ・・・
要するに、自己矛盾やんか!

では、そもそも1957年の創設以来、
IAEAのミッションって?
要するに
・ 核発電を世界に広める
(その条件として、IAEAによる査察
などを受けさせる)
・ そうすることで、核発電を普及
しながら核兵器の拡散を防ぐ
ということでしたよね。

この2つが本質的に自己矛盾を孕んで
いることは、すぐにお分かりですよね?
そんなIAEAのraison d’etreそのもの
にある自己矛盾を、「やかんをのせ
たら~~」ではすでに幾度も指摘して
きました。

そして今回、アメリカに本拠を置く
オンライン雑誌CounterPunchに、
Ramana博士という専門家による
このIAEAのraison d’etreに宿る
明らかな自己矛盾の指摘を見つけ
ました。

早速見ていきましょう。
2024年7月26日付の記事で、
M. V. Ramanaならびに
Jixiang Wang
によるものです。

いつもどおり、
私による日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です。
*************************

核推進笛吹きの大嘘

Nuclear Reactors? Deceptive
Tunes from the Pied Piper of Vienna
(原発の増設だと?ウィーンから
聞こえる、欺瞞の笛の根)

IAEAの事務局長ラファエル グロッシ
は、ここ何年か極めて多忙だ。
メディアではグロッシの苦労を取り
上げる記事が頻繁に見受けられ、
ザポリージャ原発での「大型核事故の
リスク」が取りざたされている。
さらにグロッシはロシアのヴラディ
ミール プーティン大統領とも2度の
会談を持ち、ザポリージャ原発の状況
を話し合った。グロッシは、
「深刻な核事故が発生すれば、その
惨状に国境はない」、そうした事故を
「防止するため、あらゆる手を尽くす」
と主張した。

だがそれと同時にグロッシは、自覚せず
に核事故発生のリスクを増大させて
しまっている。同事務局長は、
<世界での> 原発の増新設を推進して
いるためだ。その推進方法には、多様な
形態がある。Foreign Affairs <という
外交問題専門雑誌、https://www.foreignaffairs.com/united-states/nuclear-must-be-part-solution >
のような名高いメディアにグロッシは
署名入り記事を発表、各国をめぐり
核発電プログラムを始めようと呼び
かけているのだ。2024.年3月には同
事務局長はバグダッドに向かい、
イラクと協力して「平和利用の」原子炉
建設を進めると約束した。さらに原子炉
建設の費用をイラクは捻出できないの
だが、そこでグロッシは世界銀行ならび
にアジア開発銀行に対し、原発建設の
ための資金提供を強く要請した。

原発建設資金、出してよ!
あんな不確かなプロジェクトに、出すカネなんかあらへん!

そうした行為はいずれも意味をなさない。
この資金提供依頼を銀行への投資アド
バイスの一種と見るならば、グロッシの
原発建設推進の理屈は、笑うにも笑え
ない。彼によれば、両銀行が核エネル
ギー用の資金を用意していないのは
「時代遅れで、世界の情勢にリズムを
合わせていない」そうだ。だが実際に
情勢からずれているのは、グロッシの
核エネルギー推進策なのだ。

全世界の発電量に対しどれだけの比率を
核エネルギーが占めているのかを調べて
みると、この25年間その比率は低下の
一途をたどっている。1996年の17.5%
から2022年には9.2%にまで低下した。
後に説明する事情のため、この低下傾向
は今後も続きそうだ。言い換えれば、
核エネルギーの重要性は減少しつつある
のだ。一部の学者たちは核エネルギーを
「衰退をたどるしかない技術」と呼んで
おり、そんなものにさらに資金を拠出
するのは無意味でしかない。.

上述の開発銀行に対するグロッシの要望
を検討する際には、この種の銀行の
在り方をよく弁えておくべきだ。世界
銀行の使命とは、「極度の貧困を撲滅
し、生きていける地球において繁栄を
謳歌する」ことにある。一方アジア開発
銀行の使命も同様だが、地域として
アジア太平洋地区に焦点を絞っている。
特に世界銀行のミッションでは現在の
世界が直面している危機は複数の危機が
複雑に絡み合ったもので、「安価な
エネルギー」の必要性と、そうした
危機への迅速な対応の必然性とを述べて
いる。「早期対応が不可欠だ」とある。
核エネルギーは <導入に期間も費用も
かかるので> いずれのニーズにも対応
できないのだ。

時間もカネも、ごっついことかかるがな!


高価で期間も要する

原子炉で発電する電力は大変高価で、
安価なエネルギーにはならない。
特に、他の炭素排出の少ない
エネルギー源つまり再生可能エネルギー
と比べるなら、これは顕著だ。上述の
1996年から2022年とほぼ同期間に、
現代式の各種再生可能エネルギーが
発電量全体に占める比率は、1996年の
わずか1%強から2023年には15.9%に
まで急増した。現在では多数の諸国に
おいて、発電所のエネルギー源として
最もコストが小さくて済むのは、多くの
場合大規模の太陽光エネルギーなのだ。
そのため2020年には国際エネルギー
機関(International Energy Agency)は
太陽光のことを「世界電力市場の、
新たな王者」と呼んだのだ。銀行が
核エネルギーに資金を投資するなら、
その分だけ再生可能エネルギーや
関連する技術、インフラストラク
チャーへの投資が減る結果になる。

さらに原子炉というものは、予定通り
に竣工できたことがほとんどない。
2020年から2022年の期間中に送電
グリッドに接続されたすべての原子炉
のうち、なんと89%は予定より遅れて
接続されたのだ。予定通りに竣工できた
のは、中国の2基だけだ。アメリカでは
最近AP1000原子炉2基がジョージア州
で稼働を始めたのだが、その建設費用
たるや350億ドル近くにのぼった。

せんせ~~、97%は遅れてくるんですよ~~

この電力会社が原子力規制委員会からの
建設許可を申請したのは2011年のこと
だったが、その時点での予想総コストは
140億ドルだった。さらに「2016年と
2017年には稼働開始できる」として
いた。ある学術調査では原発プロ
ジェクト180件を調査したが、そのうち
175件で当初の予算をオーバーしており、
その差はなんと平均で117%に達し、
工事期間も当初予定よりも64%も長く
要した。そうしたパターンが歴史的には
解明されているのだが、<2020年から
2022年にかけてのコスト超過や延期の
実例は> そうした歴史的パターンより
もさらにひどいものだ。それだけでは
ない。全世界で今までに原発プロジェ
クトがキャンセルされた、あるいは
延期された件数は92件にのぼるが
多くの場合キャンセルまたは延期が
決まるまでに数十億ドルとは行かなく
ても、数億ドルを費やしている。
アメリカでのこうしたキャンセルの
最新の実例は、NuScale社の小型
モジュール原子炉 (SMR) の絡んだ
ものだった。同社はこのSMRは
「小型で従来より安全、安価」である
と宣伝している。だが実際には、
それは誤りだ。私の推計では、その
最終的なMWあたりのコストは、
ジョージア州のヴォートル原発プロ
ジェクトでの当初のコストより
約250%も高額であった。それ以前の
キャンセルはサウス カロライナ州の
ヴァージル C サマー原発プロ
ジェクトで、AP1000原子炉2基を
採用していた。このプロジェクトでは
キャンセルが決まるまでに、90億ドル
以上を費やしていた。この不良投資の
ツケは、今後数十年間をかけて電力
消費者たちが負担することになる。

キャンセルされた炎髪プロジェクトの630億円、結局、電気利用者が負担やて~~?


原発を進めるために必要となる条件

開発銀行が、核エネルギーを検討に
入れなかったわけでは、ない。
1959年に世界銀行は実際にイタリア
での原発プロジェクトに投資をした。
その際に一定の条件を設けたのだが、
その中で最も重要な条件として、
コスト面で競合する他の選択肢がない、
というものがあった。このプロジェクト
は失敗に終わった。この論考との関連で
もっと重要な問題として、今では太陽
エネルギーと風力エネルギーのコストが
下がり、利用しやすくなっている。
核エネルギーはこうした条件を満たして
コスト効率に優れることが、もはや
できなくなっているのだ。

アジア開発銀行(Asian Development
Bank、ADB)でも各種エネルギー技術
の分析を実施、エネルギーに関する
方針という文献を2009年に発表した。
この文献では核発電が直面する障壁を
いくつか浮かび上がらせているのだが、
その例として「核兵器拡散に関わる
社会的な懸念、核廃棄物の管理、安全性
の問題、巨額の投資金額、建設期間の
長さ、商業的に意味を成す新型技術の
普及」がある。こうした懸念がある
ため、どう文献では「ADBでは、
原子力には出資しないという現在の
方針を保持する」としている。しかも、
こうした障壁は1つとして解消されては
いない。

ADBがこの文献を公表してから2年後
に、安全性確保という課題がさらに
厳格化した。福島第一原発の複数の
原子炉がメルトダウンを起こし、放射性
物質を広域にまき散らし、社会政治的
にも経済的にも困難な課題が生じた。
そのために発生した経済的負担は推定で
35兆から80兆円にも達する。福島第一
事故は、核技術というものには
「事故の不可避性」が本質的につき
まとうのだ、ということを思い起こ
させてくれる。

事故以上に危険なもの~~


ザポリージャ原発の、未習得の教訓

深刻な核事故を招くもう1つの
パターンが見られるのが、ザポリージャ
原発だ。グロッシはそうした事故が発生
するなら「全世界にその影響が及ぶ」と
声高に訴えてきている。ならば <本来
なら> ザポリージャ原発危機を警鐘と
捉えて目を覚まし、この世界での原発
建設を続けるべきか否かを考え直すべき
だが、グロッシは核エネルギーの安全と
セキュリティのための5原則なるものを
訴えだした。グロッシとしては不運な
ことに、この5原則は広くは受容され
そうにない。その証拠として、ザポ
リージャ原発には幾度も攻撃が加えられ
てきた。

わてらだけや、おまへんでえ

しかもこうした攻撃がなされたのは、
原発への軍事攻撃には前例がなかった
ためではない。ロシア軍がザポリージャ
原発を占拠するよりもかなり昔、1981
年にイスラエル軍がイラクのオシラク
原発を空爆した。<上の黒いメニューで
ページc-1) を参照> さらに2007年
にはやはりイスラエル軍が、アル
キバールという核施設でシリアが建設中
だった原子炉を爆撃している。<ページ
c-2) 参照> さらにイランとアメリカも
それぞれ、イラクの核施設に攻撃を
加えたことがある。これらのケースの
いずれにおいても、攻撃を加えた側は
何ら処罰などを受けていない。

グロッシは上述の5原則を掲げ新たな
<核施設の> 管理体制を求めている
が、それらが他の方針と対立してしまう
危険性もある。<核廃絶を求める
ジャーナルである>  The Nonpro-
liferation Review
 に先日掲載された論文
で、2名の学者が この種の軍事攻撃の
歴史を詳細に調査、その結論として
「核施設への攻撃は今後も世界の
核不拡散体制の課題の1つであり続ける
ことだろう。これは、国際コミュニティ
ないしはその徳に影響力の強いメンバー
たちの少なくても一部が、核不拡散体制
の維持のためにはこの種の攻撃も必要な
選択だと考えているからだ」としている。
言い換えれば、攻撃を受けるリスクに
晒されるン発は、なにもザポリージャで
最後とは、なりそうにない。こうした
情報は、全く新しいものではない。
だが、グロッシの核エネルギー推進の中
には、こうした問題意識は全く見られて
いない。彼が世界銀行に対して
核エネルギーへの投資を行うよう提唱
した際、世界銀行が核エネルギーに
投資する何十億ドルもの資金が
<もし軍事攻撃がその核施設に対して
実施された場合には、そのわずか数分
の攻撃のため> 攻撃の後始末プロ
ジェクトに変身してしまう危険性が
あるというリスクを、グロッシは説明
していない。しかもこの後始末プロ
ジェクトの費用といえば、何千億ドル
にものぼるのだ。さらにイタリアの
ジョルジャ メローニ首相にグロッシが
小型モジュール原子炉の建設を勧めた
際にも、そのSMRが <軍事攻撃で>
爆破され、その結果はザポリージャの
場合と同じく「ひどい被害をもたらす」
ということを、グロッシは述べて
いなかった。

20-min croquis, seated model / 20分クロッキー、床に座すモデルさん

特定事項への沈黙とは・・・
私の20分クロッキー

こうした軍事リスクについてグロッシ
が沈黙していることは、世界情勢が
この上なく良好な場合でも、困りもの
だ。しかも実際にはグロッシは同時に
ザポリージャ原発での大事故という
リスクを声高に訴えているので、
こうした沈黙は許されない。先日彼は
イラクを訪問したが、イラクの原子炉
を以前にイスラエルとアメリカが爆撃
したことがあり、原子炉への軍事攻撃
は当然の憂慮事項であるハズなのだ
が、グロッシはそれを軽視していた。
グロッシがこの問題に対して示した
解答とは単に、「いろいろ過去に
あったが、未来へと進もう」という
だけであった。果たしてグロッシは
イラクに対し、こうした軍事攻撃が
二度と発生しないという信頼に足る
保証をできるのだろうか?

より深い問題として、利害の衝突が
ある。IAEAのヘッドとしてラファエル
グロッシは、前任者たちと同様、2つ
の異なる任務を抱えている。全世界
での平和と健康、繁栄に対する
核エネルギーの貢献を推し進め、
拡大する」こと、そして「IAEAの
行う、あるいは要請する、もしくは
監督・管理する援助活動が、いか
なる軍事目的にもつながることの
ないよう、可能な限り努める」こと
である。そもそも、なぜ核エネルギー
の利用を推進せねばならないのか、
根拠薄弱である。しかも近年は
推進理由は完全になくなっている。
1つ目の任務を廃棄し、2つ目に
集中するべきであり、もっと早く
そうすべきだった。

Another 20-min croquis -- tried to treat the model and surrounding space as a unity / 20分クロッキー。モデルさんと周囲の空間とを、一体として扱おうという試行
どうやれば結びつくってわけ??
私の20分クロッキー

  1. V. Ramanaは<カナダのヴァン
    クーヴァ―にある> ブリティッシュ
    コロンビア大学で軍縮、世界と人類の
    セキュリティを担当する主任(Simons
    Chair)ならびに公共政策と世界情勢の学部
    の教授を務めている。
    著作として、
    The Power of Promise: Examining Nuclear
    Energy in India 
    (Penguin Books, 2012) や
    Nuclear is not the Solution: The Folly of
    Atomic Power in the Age of Climate Change

    (Verso books, 2024) がある。
    Jixiang Wang はブリティッシュ
    コロンビア大学の公共政策と世界情勢の
    学部に勤務するとともに、ブリティッシュ
    コロンビア国際協力評議会(BC Council for
    International Cooperation)で政策アナ
    リストも務めている。

*******************************

20-min croquis from Sept 3 / 20分クロッキー、9月3日
なぜ存在しているの??
私の20分クロッキーより

本文の最後の段落にある通り、IAEAの
raison d’etre そのものが自己矛盾を
孕んでますよね。私個人の認識など
ではなく、Ramana博士のような専門家
も、その矛盾をご指摘です。
要は、「やかんをのせたら~~」で度々
説明してきたように、原子炉もウラ
ニウム濃縮も元々核兵器製造のための
技術です。それに「やかんをのっけて」
電気を起こすことを「平和利用」と
呼び、それを普及させながら軍事利用は
制限しよう(不拡散) ・・・ そんな
目論みそのものが、自己矛盾なのですね。
現実、この50-60年間というタイム
スパンで見ると、核兵器保有国は少し
ですが増えてしまっています。インド、
パキスタン、(おそらく)イスラエル、
そして北朝鮮。さらに、近いうちに
イランも??
ソリューションはただ1つ、核兵器も
それを作るための技術も(つまり、
核発電も)廃絶することです。

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イランとイスラエル、結局衝突に??

Bulletin of the Atomic Scientists

Why Iran may accelerate its nuclear program, and Israel may be tempted to attack it – Bulletin of the Atomic Scientists (thebulletin.org)

Why Iran may accelerate its nuclear
program, and Israel may be tempted to
attack it
(イランが核開発を加速する恐れがあり
得る理由。そしてイランの核施設を
イスラエルが)

Darya Dolzikova (ロンドンのRoyal
United Services Instituteで核拡散と
核政策を担当する研究フェロー) 記者
Matthew Savill (ロンドンのRoyal United
Services Instituteで軍事科学担当
ディレクター) 記者

2024年4月26日

やられる前にたたいて ~
私の20分クロッキー

もうかなり昔から言い古されてきた問題
ですが、
イランの核開発が進展 → イスラエルが
それを爆撃などで破壊 (実際に、過去の
実例アリ: 上の黒いメニューでページ
c-1) や c-2) を参照)→ そのため放射性
物質が飛び散り、仮にホルムズ海峡の
タンカー通行が不能になったら ・・・
そうでなくてもノタウチ回っている
日本経済は、おそらくもう二度と立ち
上がれなく ~~
(2024年8月12日追記
このホルムズ海峡云々のくだり、
極端なことをわめいているように
聞こえるかも。でも、たとえば
下のリンク先にある石川和男さん
の論考もご覧くださいな。
既存原発の再稼働に関しては、私とは
意見が明確に異なりますが。私は、
既存原発の再稼働ではなく再生可能
エネルギーを進めるべきだと考えます。
日本は平和ボケ、ホルムズ海峡封鎖への危機感がない!イスラエルへの報復、イランを「やるやる詐欺」とみる大問題 (msn.com) )

このイランの核を巡るイスラエルによる
攻撃の危険性、もっと真剣に憂慮すべき
問題ですが、日本語メディアにはあまり
登場していませんよね。そこで英語圏の
インターネットを探してみると、この
Bulletin of Atomic Scientistsにある記事
を見つけました。今から3か月ほど前の
ものですが、緊迫した状況そのものは、
変わってはおりません。

危険な事態にならぬよう祈りつつ、
このお二人による考察を読んで
いきましょう。

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です。

PAX!

**************************

この4月19日、イスラエル軍がイラン
国内の深部、イスファハンという都市の
近郊に攻撃を加えた。これは明らかに、
その数日前に行われたイランからの
ドローンとミサイルによるイスラエル
への大掛かりな攻撃に対する報復だ。
両国間のこの攻撃の応酬のため、この
地域で深刻な軍事衝突へのエスカレー
ションが起きてしまうのではという
憂慮が高まっている。両国はお互いの
領土への攻撃を、今までは避けてきた
のだが。

イスラエルからの攻撃は、イスファハン
核技術センターのそばにあるイラン軍の
施設に対してなされた。このセンター
には研究用の原子炉やウラニウムの転換
工場、核燃料製造工場などの各種施設が
ある。今回の攻撃はイランの核施設を
直接に狙ったものではなかったが、これ
までの報道によればイスラエルはそう
した直接攻撃をも検討に入れていた
そうだ。これに対しイラン指導層は、
もし核施設が攻撃を受けるなら核政策の
再検討を始め、核プログラムを加速する
ぞとの脅迫を始めた。

こうした出来事からは、イランの核能力
が <核兵器製造への> 閾値にまで
達してしまっており、そのためこの地域
で軍事衝突がエスカレートしてしまうと
いう脅威が浮かび上がる。そのため
ある種の抑止効果が得られているとの
認識をイランは有している。少なくて
も、アメリカが直接に報復攻撃を仕掛け
てくることはない、という認識だ。
その一方、イスラエルからの攻撃に
とっては「おいしそうな」標的になって
いることは、理解しやすい。今回の相互
直接攻撃により、これまでは代理武装
組織による衝突であったものが、相手の
領土への直接攻撃がなされたことで緊張
の在り方に変容が生じ、イランの核と
いう問題に対するタイムリーで非軍事的
なソリューションを見つけることが
焦眉の急となっている。

「核兵器さえ持てば、誰も攻撃してこない」
「いや、その核施設そのものを攻撃されたら??」

攻撃したくなる標的 現在の分析に
よれば、イランは今のところまだ核兵器
を保有してはいないのだが、同国は
高度な核プログラムを維持しており、
核兵器を製造するという決断さえすれ
ば、比較的短期間で核兵器を開発する
能力を有している。だがイランには
「もうすぐ核兵器」という核兵器開発に
近い能力が既にあるのだが、それでも
イスラエルによる先日の攻撃を抑止
できはしなかった。イランの核プロ
グラムは <イスラエルからの>
攻撃にとっては「食指の伸びる」標的で
あり、そうした攻撃によりこの地域の
安定が脅かされる恐れがある。イランの
核開発プログラムはかなり高度で、
短期間で核兵器を製造できるだけの
リスクが現実に存在している。しかも
現段階では、大幅に後退させることも
可能だ。もっとも、それに伴うコストは
かなりのものになろうが。

イランはその核プログラムを、アメリカ
によるイラン領土への直接の攻撃や侵略
を抑える抑止手段と捉えている。2003
年の <英米による> イラク侵攻に
見られるような西側からの誤った非難に
基づく攻撃を防ぐための保険政策と
なっていると、見なしているのだ。
つまり、もしそうした侵略をイランが
受けるなら、イランは短期間で核兵器を
製造できるというわけだ。その能力の
おかげで、イランの指導層はこの地域の
不安定化をもたらしえる活動に従事
できている。イラン領土への報復行為が
ある可能性は <核プログラムという
脅威のおかげで> 小さい (と見ら
れる) ためだ。イランはこの4月13日
にイスラエルに対し攻撃を実施したのだ
が、それに対する報復活動にアメリカは
参加しなかった。そこにはいくつもの
要因があったろうが、戦闘がエスカ
レートして核プログラムによる核兵器
製造を加速するのでは、という懸念が
そうした要因の1つであった可能性は
ある。

超ロング リーチ
そこまで届くぞ

イスラエルはイランの核プログラムを、
イスラエルの存続を脅かすものと捉え
ており、このプログラムの廃止を長年
求めている。そのため、今回のイラン
からの攻撃への報復としてイスラエル
がイランの核施設を標的とするかも
しれない、との噂が流れたのだが、
驚く人はほぼいなかった。実際にイスラ
エルはイランの核施設に近い軍事施設を
今回攻撃しており、さらにイランが核
施設を保護するために配備している防空
システムにも攻撃を加えている。
こうした事実は、正確な計算の結果で
あるように見える。つまり、イラン国内
の深部にある厳重に防御された核施設で
あっても、イスラエルは攻撃可能だぞ、
ということを示すための計算であった、
というわけだ。一部のコメンテーター
たちの推測では、これからもイランの
核施設への攻撃を行う必要があるの
では、との見解もある。

イスラエル「実はウチ、核兵器持ってんだけど
攻撃された==」

この文脈において、両国間の衝突が
エスカレートした場合、イランの核施設
は今後もイスラエルにとっては食指の
伸びる標的であり続けることだろう。
さらに、今回のイランによる攻撃では
イスラエル領土に対し2つの主な攻撃
があったのだが、イスラエルは未申告
の核兵器製造能力を有している。その
核能力は今回、抑止力としては機能し
なかったと、イスラエルは結論付ける
可能性がある。昨年の10月7日には
ハマスによる対イスラエル攻撃があり、
今年の4月13日にはイランによる攻撃
があった。おそらくはこうした攻撃の
ため、イスラエルは戦略的な脆弱性を
さらに強く感じた恐れがある。
もっとも、イランからのドローンと
ミサイルによる攻撃のほとんどを防空
システムで撃墜できたので、この
脆弱性認識はある程度緩和されたの
ではないか。

伝統的にイスラエルは、イランの
核プログラムに攻撃を加える場合には、
その破壊程度に制限を加えてきた。
つまり、サイバー攻撃や科学者の暗殺、
各施設での爆弾攻撃といった形態だ。
この戦略によってイスラエルは幾度も
イランの核開発の時計を巻き戻し、
しかも <イスラエルの仕業という
ことを> 否定できる余地を残し
ながら、軍事衝突へのエスカレーション
を回避できた。つまり、両国が「影の
戦争」を展開するうえでのルールを、
そうやって守ってきたのだ。だが今や、
両国はお互いの領土内を直接に攻撃して
しまった。そうなった今、イスラエルは
イランの核施設を直接に攻撃できる機会
ができたと見ている可能性もあり、
さらにはそうすべきだと考えて
いる恐れもある。

周囲を巻き込んだ争いへ


誤った選択肢の連続
  イランがそ
の核施設で核兵器を製造し、イスラ
エルがそれを叩くという危険性が
現実化した場合、対立は劇的に悪化し、
この地域全体を巻き込んだ戦闘へと
発展してしまう危険すらある。

イランの核施設に対する攻撃をイスラ
エルが準備しているとイランが予想
した場合、イスラエルによる大きな攻撃
や妨害を受ける前に核兵器を早く製造
しようとイランが踏み切る可能性が
ある。イランが核兵器製造を急ぐことに
した場合、それに対しイスラエルは
イランの核兵器保有を防止するため
イスラエルはイランの核施設を攻撃する
ことになる恐れがある。このタイム
ラインはイスラエルに有利なもので、
イランにとってはリスクがある。
イスラエルは数日ないしは2-3週間と
いう短期間で攻撃を開始できるのに
対し、イランが核兵器製造を決断しても、
使える核兵器を手にできるまでには
数か月から1年をおそらくは要するで
あろう。もっとも、推定であり
不確かさはつきまとうが。とはいえ
イランの核開発プログラムは既にかなり
進んでおり、IAEAあるいはイスラエル
の諜報機関がイランによる核兵器開発を
認識する前に、実使用可能な核兵器の
製造に向けて大きく歩を進める恐れも
ある。その場合、イスラエルは短期間で
<核施設に対する> 先制攻撃を行う
準備をせねばならなくなる。

地下にあるんだよ~~

またイスラエルがイランの核施設を
部分的に攻撃した場合でも、それへの
対応としてイラン政府が核兵器の製造を
決断するという可能性もある。イランの
核施設コンプレックスは分散されて配置
されているうえに主要施設は堅牢に防御
されていて、しかも核関連知識も
しっかりと出来過ぎていて、限定的な
軍事攻撃では破壊しつくすことができ
ない。ナタンズとフォルドウにある同国
のウラニウム濃縮施設では核兵器に必要
となる核分裂性物質を製造しているの
だが、フォルドウの施設は全体が地下に
あり、ナタンズも一部が地下にある。
しかも両者とも、防御が極めて堅牢だ。
遠心分離機の製造であれ、ウラニウムの
転換、さらにはまだ稼働に至っていない
ホナブ重水型原子炉ですら、イスラエル
からの攻撃を受けて損害を被るならば、
確かにイランの核開発プログラムは
後退することにはなろうが、結局は
イランはウラニウム濃縮能力を伸ばして
しまうだろう。当然、兵器グレードの
ウラニウム(U-235の濃度が90%以上)
の製造にも近づいてしまう。核技術を
核兵器に転用しようとイランが目下作業
を進めているかというなら、アメリカの
諜報機関コミュニティも現時点では
まだだと推定している。だがイランが
そうした作業を進めているとすれば、
非公開の各地に分散されている施設で
行われているはずで、それらを軍事
標的として特定するのは極めて困難だ。

イランの核プログラムに対し今までに
イスラエルが行った破壊活動を見ると、
破壊活動の後でイランは損傷を受けた
施設を再建し、その堅牢性を高め、
核関連活動をさらに加速化して、
加速化してきているのだ。これが
核施設への直接攻撃ということになっ
ても要は攻撃が激しくなるだけのこと
であろう。イラン対イスラエルの闘争が
代理組織による紛争から直接の衝突へ
と変質するなら、イランはその核開発を
一層大切にすることになろう。自国領土
に対する直接的なさらなる攻撃や
アメリカの軍事介入を予防する抑止と
して核が機能できる、というわけだ。
イランの見方としては、各地の代理組織
やミサイルとドローンだけでは、戦略的
に重要な核開発プログラムにイスラエル
が直接の攻撃を実施することを抑止でき
なかったことになる。イラン政権の安全
を確保するために残されている唯一の
選択肢は実際に核兵器を作ることだと、
イラン政府が認識する恐れもある。

「5分で完成 核兵器キット」
「ウチに攻撃したら、これ作るぞ!」

悩ましい問題なのだが、イランの核以外
の資産に対するイスラエルからの攻撃が
あっても、イランの指導層が同じような
結論を下してしまう危険性がある。
これについては他の論考で他の著者たち
も論じていたが、<2023年の> 10月
7日にハマスがイスラエルを攻撃したの
だが、その際にこの地域でイランが自ら
の資産に対する攻撃を抑止するという
点、また <同地域では> 不安定性が
続いていることを利用してイランに
とっての安全保障上の優先課題を推し
進めるという点において、イランには
弱点があることが明らかになった。
そうした弱点のゆえに、イラン指導層は
核開発プログラムの戦略的価値をさらに
大きく認識している可能性もある。

ウラニウム濃縮とリスク、再掲

イランにはまだ核兵器をフルに備える
能力はないので、まずウラニウムを
核兵器グレードにまで濃縮することで
<上述のような脅威に> 対抗しようと
するかもしれない。 もちろん、兵器
グレードのウラニウムがあるだけでは
核兵器を製造できるわけではないが、
核兵器保有に向けた歩みの中での重大な
ステップであることには違いない。
さらに今後もイスラエルからの攻撃が
あった場合には、核不拡散条約
(Nuclear Non-Proliferation Treaty、
NPT) から脱退することで報復行動
とする危険性もある。この脱退に
続いて、イランはIAEAの査察官たちを
国外追放することだろう。イランはここ
数年、査察官の入国にかなりの制限を
加えてきているのだが、それでもIAEA
はイランの核開発プログラムの主要部分
のモニターと報告を続けている。NPT
からイランが脱退するという事態に
なれば、国際世界が核開発プログラム
の進捗を知る手段は、各国の諜報活動
や衛星画像のみとなってしまう。

そうした不確実性と、NPTの下での
核兵器製造能力を放棄するという約束
をイランが公式に撤回する危険性に
より、この地域の安定が深刻に脅か
される危険性もある。さらにイランが
NPTから脱退した場合には、この地域
での核兵器の拡散を推進してしまう
恐れもある。以前にサウディ アラビア
は、イランが核兵器を手に入れた場合
には、サウディも保有するとの脅しを
述べていた。
<上の黒いメニューでページ f-4) の
終わりの方を参照>

何もしないか、徹底してやるか 
イスラエルがイランの核施設に対し
限定的な攻撃を実施したのでは、
かえって良くない結果を招きかねない
という懸念から、イスラエルは核プロ
グラムを可能な限り昔の段階へと戻す
ための大規模軍事作戦を検討する恐れ
がある。だがこの選択肢を実行した
場合、イラン対イスラエルという極め
て破壊的な全面戦戦争に至ることが、
ほぼ確実だ。しかも周辺諸国や
アメリカ、さらには他国までもがこの
紛争に巻き込まれる危険性さえある。

♪ 別れさせようにも、別れられるはずもない ~~♪

イランの核開発プログラムを軍事作戦
によって意味があるほど逆戻しさせ
たければ、
イラン領土内に広く分散されている
諸施設の多数を攻撃し、しかもイラン
(と場合によってはシリア)の防空
システムをも抑える必要が生じる。
そうした作戦を実施するにはさらに、
弾道ミサイルやその他の軍事施設
への攻撃も行う必要がある。
<イスラエルからの攻撃開始後>
すぐに使用する可能性があるからだ。
フォルドウやナタンズの地下施設への
攻撃では、岩床や強化コンクリートを
数十メートル突破してから施設内部で
爆発するような特殊な兵器が必要に
なる。既存の通常兵器の中で、こんな
ことを成し遂げられそうなのは
アメリカのGBU-57A/B Massive
Ordnance Penetrator(強力攻撃用
貫通爆弾)だけで、これは重量が
12トン以上、全長が6mを超える
代物で、B-2 Spiritのようなアメリカ
の爆撃機でなければ輸送できない)

こうした戦術的な問題に加え、これ
ほど多数の標的を攻撃するだけの
大規模な軍が必要であることから、
ほぼ自動的にイランの核施設への攻撃
を成功させるにはアメリカ軍による
大規模な協力が必要になると分かる
はずだ。たとえ、直接の関与ではなく
とも。こうした攻撃はイランの領土に
深刻な被害をもたらすのだが、それ
でもイランの核プログラムを全面的に
破壊できるとは限らない。

偽装たんこぶ
お互い、殴り合ったってことで ~~

現在の動向をより楽観的に捉える
なら、イランとイスラエル両国は
イランの核施設に対する限定的ないし
は広範な攻撃のリスクと問題点とを
認識、対立のエスカレーションを防止
しようと努める可能性もある。両国の
指導層報復合戦を終わらせながらも
自国の勝利を主張できるような対応を
求めていくかもしれない。現実、今回
のイランによる領土内への攻撃に対し
ても、イスラエルの反応は限定的かつ
計算済みのもので、しかもイランも
イスラエルからの報復攻撃は大した
被害をもたらさなかったと主張して
いた。エスカレートさせないという
思惑が働いているように見受けられる。
そうした、エスカレーションを回避し
たいという願望は、イランに対する
いかなる攻撃にもあまり関与したがっ
ていないというアメリカの声明にも
明らかだ。

だが、アメリカの政治力学はあく
まで背後の要因だ。今年後半に
ドナルド トランプが大統領に再選
されるようであれば、イスラエルも
態度を硬化させる恐れがある。共和党
政権になれば、イランの核プログラム
に対するイスラエルの攻撃を支持する
傾向が強いうえに、トランプの周辺は
既に以前から、こうした攻撃を要請
してきているのだ。アメリカからの
支援があれば、イランの核プログラム
に決定的な損害をもたらすだけの
攻撃を加えるために必要な軍事的・
政治的な支援を得られた、イランが
核兵器開発を始める前に阻止できる、
とイスラエルが認識する可能性が
生じる。

エスカレートしてしまうリスクへの
対処  この春には <相互に相手の
領土内を攻撃するという> 出来事が
あり、それに対する報復活動がどの
ようなものとなれ、イランの核プロ
グラムの転換点となりそうだ。未完の、
あるいは失った抑止効果を維持あるい
は再構築しようとイランは目論むはず
だからだ。その一方で、核プログラムは
今後もイスラエルにとっては食指の
伸びる攻撃対象であり、エスカレー
ションを招きかねない要因である。

アメリカはイスラエルに対しある種の
圧力を維持しており、イスラエルによる
報復攻撃を適切な程度に留め核以外の
資産に対する攻撃に限定せよと、イスラ
エルに圧力をかけ続けることで、上述の
ようなリスクの大幅な軽減に貢献で
きる。またアメリカ政府は、イスラエル
から軍事攻撃を始めた場合、直接に
関与することはない、またイランとの
将来の衝突でイスラエルを支持するには
条件がある、という意志の明示を続ける
べきである。

核=抑止力? いえ、実は不安定化要因
私の、かなり昔の作品

だが、こうした計算ずくのアプローチと
いえど、イランの核プログラムという
長く続く問題に対しては、痛み止め程度
のものでしかないであろう。現在の状況
を冷静に見れば、抑止力というものと
不安定化を招く核の影響力とのあいだの
バランスがいかに微妙なものか分かる
はずだ。<まだ核兵器にまでは至って
いなくても> 兵器グレードのウラ
ニウムに近いレベルまでの濃縮を行った
だけで、ここまでの騒ぎになっている
のだ。こうした現実を見れば、イランの
核という問題に対する非軍事的な
ソリューションを交渉で見つけ出すこと
の不可避性そして緊急性がさらに明らか
になろう。確かに、核問題に関する交渉
を再開できそうな状況かといえば
<難交渉を経て2015年にはいったん
核合意が成立したわけですが、2018年
にトランプ政権が一方的に合意から離脱。
それ以降、再建交渉は続いているが
難航>、過去10年間と変わらず困難な
状況だ。そうであっても、再建交渉に
代わる各種選択肢と比べれば、はるかに
ましなのが交渉という選択肢なのだ。
つまり、現時点でイランが保有している
高度な核能力が、さらに新たなものに
代わってしまうというリスクを抱えた
まま、一種のギャンブルをする。
それが、交渉以外の選択肢なのだ。
つまり、実際に配備可能な核兵器を
イランが保有してしまえば、不安定性は
さらに強くなってしまうのだ。
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リスクだらけ ・・・
私の20分クロッキーより

「敵がヤバい兵器を作る前に、製造工場
をツブシてしまえ!」は確かに、
軍事面だけを考えるなら、あり得る選択
です。しかし、イラン全土に散らばる
核施設 ・・・ なんて場合には、全体を
破壊するのは困難です。やはり、何でも
かんでも武力でぶっ壊すというのは ~~

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