Kyiv Post ウェブサイトに掲載の論考、 パート3

Kyiv Post

OPINION: Europe in Flames:
The Unknowns (Part 3)
(論調
炎に包まれるヨーロッパ:
不確定要因 (パート3) )

ウクライナ戦争に関するKyiv Post
ウェブサイトに掲載の論考、
パート3です。

英語元記事を読みたい方々は、
Opinion: Europe in Flames: The Unknowns (Part 3) (kyivpost.com)
へどうぞ。

The Russo-Ukrainian war is not a local
conflict. The future of Europe is at stake.
An in-depth five-part analysis examines
the options facing the West.
(ロシアVSウクライナ戦争は決して、
特定地域だけの紛争ではない。
ヨーロッパの未来が左右される。
西側を待ち受ける選択肢を考察する、
5つのパートからなる徹底論調の
パート3)

戦争は、早く終わってほしい ・・・

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
*************************************

Hans Petter Midttun
2023年12月27日

ドローン戦争

ドローンによる戦争が繰り広げられて
いるが、それにより戦争のやり方も
変化しつつある。ドローンを活用
すれば、従来の偵察活動では2週間
かかっていたものを、わずか数分で
目にすることができる。またドローン
によって、今までの手法では攻撃不能
であった標的を攻撃できる。一人称
視点(First-person view、FPV)を
備えた「カミカゼ」 <自爆式>
ドローンは操作性が高いうえに極めて
高速だ。さらにカメラを利用した
手動操作であるため、GPS妨害電波
などに対して強い。また高速である
うえに比較的小型で、操縦がしやすい
ため対航空機用防空システムでは
対処しにくい。

こうしたドローン システムは商的に
販売されており、高価ではなく操縦も
しやすいため、砲撃や射撃よりも精度に
優れる。さらに手りゅう弾から対戦車用
弾頭まで各種の武器をロードでき、
特別に硬化させた標的でなければ、
壊滅的な効果を発揮できる。さらに
ドローンが残す経路も、情報戦では
重要な意味を持つ。数百米ドルの
ドローンが、何百万ドルもする重兵器を
破壊している。

敵はどこだ??

本格的な戦争では、いまやドローンは
すべての重要な戦争で利用されている。
「ドローンがないと、視界なしで戦って
いるようなものだ。敵は自分たちを見て
いるのだが、自分たちは敵を視野に
収められずにいるのだ」

海軍を持たない国であるウクライナが、
ここまでにロシアの軍用艦や船舶23隻、
そして潜水艦1隻を破壊しているが、
これは巡航ミサイルや UAV <無人
航空機>、海上ドローンを活用しての
ことだ。ロシアの黒海艦隊をロシア
本土に帰らざるを得ないようにし、
2023年7月17日に黒海穀物イニシア
ティブ <Black Sea Grain Initiative
ウクライナ、ロシア、トルコ、国連の
合意による協定で、ウクライナの港から
商戦が穀物を国会の外へと運べることを
保証したもの。2023年7月にロシアが
破棄しました> が実質的に終了して
以来今までに、226席以上の商戦が
ウクライナの港に入港することを可能に
してきた。ウクライナの一人称視点
(FPV)  を備えたドローンが現時点で、
ロシア軍の戦車の40%以上を破壊して
おり、武装車両や砲、トラックの30%
以上を撃退している。ウクライナの
各企業が毎月50,000機のFPV付き
ドローンを製造しているのだが、
これでも必要量の10-15%に過ぎない。

敵は強力だ

ロシア軍のドローン製造と輸入の量は、
はるかに多い。ウクライナの専門家
Maria Berlinskaによれば、「ロシア軍
はウクライナ軍よりもはるかに先を
進んでいる。自動化も進んでおり、
「ドローン編隊」も編成でき、自動
光学ナヴィゲーション(ドローン自体
が標的を認知し攻撃するかどうかの
決定を下す)も可能だ。こんなドローン
が何千と飛来してきたら、ウクライナ軍
は2-3週間で何十キロも後退せざるを
得なくなる。」

両国とも、パートナー諸国と防衛産業
ベースとを動員し、戦場で決定的な優位
に立とうと努めている。それに成功する
方が、この戦争の様相を根本的に変える
こととなりそうだ ・・ そうかも
しれない。

心理的要因

戦争に関連するありとあらゆるトラウマ
に、ウクライナの人々は晒されている。
今回の全面戦争が始まる以前でも、
ウクライナには851,068名の退役軍人が
いた。戦争が今日終結したと仮定した
場合、ウクライナの退役軍人はさらに
1,800,000 名増大する。彼らの家族まで
含むと、支援を必要とする可能性のある
人口は恐るべき7,200,000 人(つまり、
総人口の10-20%)に達する。
これは、今回の戦争での戦闘からの
トラウマだけを考えた数値だ。だが
ウクライナはさらに、実存的な戦争を
も戦っている。ウクライナ兵士たちの
士気の高さは戦場で実証済みであり、
ウクライナが自分よりも強力なロシア
軍を打ち負かしている原因でもある。

かなりの損害だ・・・

ロシアが被った損失は、第二次大戦以降
で最大のものだ。アメリカの諜報機関に
よると、ロシア陸軍はこの戦争の開始
時点で3,100両の戦車を有していたが、
そのうち2,200両を失っている。
1950年から1980年にかけて製造した
旧式の戦車や装甲車、砲などを
引っ張り出して「バックフィル」
<古いもので埋め合わせをする> を
せざるを得なくなっている。最低でも
ロシア軍兵士315,000名が死亡、
あるいは負傷している。これは、
ロシア軍が今回の全面戦争を開始した
時点で有していた人員の90%近くに
相当する。 .

ロシア軍は「人海戦術」でウクライナ
の陣地を脅かそうとしてきたのだが、
その多くは装甲車両や砲による支援なし
でのことだった。上述のような大規模の
損害を受け、場合によっては
「障壁部隊」を設定して兵士たちに前進
を強いるしかない場合もあった。酒に
酔う徴兵された兵士たちや命令に服従
しない兵士たち、有罪判決を受けた兵士
たちはStorm-Zというロシアの懲罰部隊
へと強制的に押し込まれる。そこから、
「大砲の餌食」としてウクライナの前線
へと送り込まれる。士気もやる気も最低
レベルで、最近ロシア軍の「ドニエプル
グループ」の司令官は将校たちを集め
襲撃ユニットを編成せざるを得なく
なった。さらにローテーションも無理
なので、状況はさらに悪化しそうだ。

ロシア軍は、第一次大戦で見られた
ように崩壊・解体する可能性もある。
その破局がいつ・どのように訪れるのか
は予測しがたいが、2024年に起きる
可能性も充分にある。ロシア軍が要塞化
されたウクライナ陣地を無理に襲撃
せざるを得ないようにし(バフムートや
アウディーウカなど)、重大な損害を
受けさせれば、そうしたロシア軍の崩壊
を実現できるのかもしれない。あくまで
可能性の話だが。

在庫がなくなっておりまして~~


防衛支援

西側からの兵器や弾薬の供給が減少して
いるが、メディア各社はそれを
「支援疲れ」の一環だとしている。実は、
そうではない。それは、欠陥のある戦略
思考と安全保障と国防への投資を渋った
結果なのだ。既に昨年、西側諸国は
ウクライナがろ紙を打ち負かすために
必要なだけの兵器や弾薬の備蓄がない
ことに気づいていたのだ。

2022年8月、私(Midttun)は次の警告
を発した:「NATOがウクライナに
供与できる兵器がなくなりつつある」
NATO諸国は今回の戦争が2014年に
始まった際に、その防衛産業ベース
(Defense Industrial Base、DIB) の
動員や軍の増強、武器弾薬の備蓄の
増大を怠ったのだ。2022年4月、
アメリカの防衛産業が発表したところ
では、防衛関連の必要物調達の発注を
受けた場合、生産増大には18から
36か月を要するそうだ。

オレは本気だ

アメリカのウクライナ向け防衛支援が
再開するのは、来年になる公算が大だ。
これは単純に、アメリカの国益という
事情のためだ。(アメリカにとっての)
コストを最小にして、ロシアの軍事
活動を削減するという狙いだ。敵対する
恐れのある諸国すべてにアメリカの意思
と能力を示す合図を送り、将来の紛争を
抑止するというものだ。この努力により
アメリカのDIBの拡大増強を図る。
既存の生産ラインも新規のラインも稼働
させる。アメリカ軍部から以前に直接に
供与した兵器を、新型の現代的兵器と
交換する。 さらにそのコストの大半は
アメリカ国内で消費することで、雇用を
創出する。同時にアメリカは、
ウクライナの軍事技術やドローンへの
対抗策、ロシア軍の戦術・戦略などに
ついて実戦に基づく貴重な情報を
集める。ロシアの電子戦に対抗する
うえでの手助けになる。アメリカの
ウクライナ向け支援は支出ではなく、
長期的には戦略的な投資と見るべき
なのだ。

ヨーロッパは、アメリカからの防衛支援
に取って代われる状態にはない。この
30年間、ヨーロッパは軍事支出が不充分
で軍の縮小や効率化を進めており、
そのためウクライナに必要な武器や弾薬
を供与できないのだ。ヨーロッパ諸国
には、自国の軍隊とその持続可能性とを
再建することが急務である。ヨーロッパ
のDIBはいかなる意味でも必要に応え
られるだけのものを製造しておらず、
その表れの実例として100万発の砲弾
を供与するとの約束を守れておらず、
2024年から2025年にかけて防空
システムを供与するとの誓約も果たせて
いない。2024年には生産量が増強
されることを願うのだが ・・
そうなれば良いが。

黒海の危険 ・・・??


黒海

ウクライナは、黒海では優れた戦果を
挙げてきている。
黒海艦隊(BSF)の一部をクリミアから
他所に配備転換せざるを得なくなって
いるほどだ。ウクライナ南岸への陸海
共同での上陸という脅威は消えた。BSF
が認知されている艦船配備(maritime
recognized picture)を編成できる能力が
劣化した。フラグシップ艦を失い、
ミサイル輸送船の一部も失い、潜水艦も
1隻破壊された。ウクライナの港を閉鎖
する能力も弱体化した。

ルーマニア、ブルガリア、トルコの領海
を通過しての船舶輸送航路も、
ウクライナは再会できている。8月8日
以降、ウクライナ海軍が設けた
ウクライナ回廊経由で、ウクライナの港
から200隻以上の船舶が出港している。
さらに12月4日までに、ウクライナの
港に入港した船舶は 226隻にのぼって
いる。

今までのところ、ロシアはこうした
輸送海路には介入も封鎖もしない
ことにしている。この海路を封鎖する
選択も検討しているのかどうかと
尋ねられたロシア外務省のスポークス
パーソンMaria Zakharovaは、直接の
解答を避けたが、この輸送海路が軍事
目的に利用されている恐れがあるとの
嫌疑を述べた。これは7月19日付の
ロシアの「黒海でウクライナの港に
進行していくすべての船舶は、軍事
物資を輸送している可能性があるもの
と見なす」という声明を再度強調した
ものだ。つまり、そうした輸送船舶を
合法的な軍事標的とする、との含意
がある。

疑わしきは、攻撃する

この点でのウクライナの戦果は目を
見張るものだが、BSF とその海軍
航空部隊とはお望みであれば民間船舶
の入港などを禁じ停泊させる能力を
保持している。そうした行為をロシア
が控えた場合には、西側がこの戦争に
直接に介入することを回避するという
長期的な目標のためである可能性が
極めて高い。外国船隻の船舶を沈没
させたり、損傷を与えたりすれば、
まさに西側の介入を招く危険性があり
得る。あくまで、可能性であるが。

 

本論調にある見解は著者自身のもので、
Kyiv Postの見解でもあるとは限り
ません。

*************************************

よく見てみれば ・・・
私の点描練習

今回のパート3には、核兵器や原発の
話題が直接には登場していません。
ですが、
・ そもそも核兵器使用されたら・・・
という脅威が、現在の状況を招いた
大きな要因の1つ。
・ こうした現状のただ中に、原発が
立っている。
という現状は充分に意識しておくべき
ですね。
特に、私たち反核勢力は、こうした
世界情勢などにも目を光らせておく
必要があります
福島第一からの ”トリティウム水”
排出もウォッチを続けるべきですが、
同時に世界ではウクライナ、イラン、
サウディ、北朝鮮などなどで凝視を
続けるべき事態が進行中です。
反核勢力のやるべきことは、極めて
多いのですね。

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Hans Petter Midttun氏による論調、 パート2

Hans Petter Midttun氏による論調、
パート2
OPINION:
Europe in Flames: the Factors of
Concern (part 2)
(論調
炎に包まれるヨーロッパ: 憂慮すべき
要因 (パート2) )

ウクライナで最も長い歴史を誇る英語紙
Kyiv Post にあるEurope in Flames: the
Factors of Concernのパート2です。
今回は、いよいよ核リスクに関する
言及も登場します。
英語の元記事を読みたい方は、下を
クリック:
Opinion: Europe in Flames: the Factors of Concern (part 2) (kyivpost.com)

ロシアVSウクライナ戦争は決して、
特定地域だけの紛争ではない。
ヨーロッパの未来が左右される。
西側を待ち受ける選択肢を考察する、
5つのパートからなる徹底論調の
パート2。

長くて疲れる~~
私の人体デッサン
Croquis Cafe 366をベースに

かなり長い論考ですが、読む価値は
あります。お時間のない方は、
何回かに分けてどうぞ。

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

*************************************
Hans Petter Midttun
2023年12月27日

核リスク

今回の全面戦争が始まって2年近くに
なり、<ロシアによるクリミア侵略の
開始からだと> ほぼ10年になる。
クリミア侵攻が始まった際に西側は
軍事的には介入しないことにしたの
だが、それは核での衝突という極めて
仮説的な不安のためであった。今や
我々は、数種類の核災害のリスク
<たとえばザポリージャ原発の状況
など> が現実に存在し、しかも増大
を続ける中で生き続ける術を得て
しまっている 。

人類史上初めて、15機もの原子炉が
ある場所で熾烈な戦闘が繰り広げられ
ている。ザポリージャ原発は、2022年
3月以来今も <ロシア軍に> 占拠され
ている。人員が不足しており、定期的な
外部電源供給の喪失が発生している。
メインテナンス作業のできず、本来の
設計や既存の規則とは食い違った稼働が
なされている。

1986年のチョルノービ原発大事故を
上回る核大災害のリスクが、日増しに
増大している。

この下を探していくと、ザポリージャ関連の記事は多数あります

防空

ウクライナの防空装備(air defense、
AD)は旧ソヴィエト時代の遺産の
ような代物で、徐々に劣化している。
しかも西側からのADの供与は時間が
かかり、限定的なものだ。NATO加盟
諸国の大半は、冷戦の終結以来現在
まで、頑強なADネットワークへの
投資とメインテナンスを怠ってきて
いる。そのためそうした諸国には、
ウクライナに供与できる装備備蓄が
少ないのだ。しかも多くの諸国では
大急ぎで自国のADを再構築し深刻な
脆弱性をなくそうと慌てている始末だ。

最近供与の約束があったものの多くは
まだ出来ていないシステムの供与で
あったりする。たとえばドイツは
IRIS-T というシステム8つをウク
ライナ軍に支給すると約束したのだが
そのうち3つが納品済みだ。<まだ
5つ残っている> アメリカは
NASAMS12個のウクライナへの供与を
約束したが、そのうち最低で6個は実際
に供与されることになりそうだが、
時間がかかる。(2025) カナダも
NASAMS1個の供与を約束したが、
まだ実際に引き渡せてはいない。

旧ソヴィエト時代の武器を~~~

すぐに供与できるADが不足している
ことに困ったアメリカは、Franken
SAMUS 防空システム(ハイブリッド
型のADシステム)用の技術を供与
した。ウクライナの軍事力を増強する
ためである。このアメリカが実施した
FrankenSAMプロジェクトでは、次の
3種類の作業を合体させている。1つは、
アメリカのSea Sparrowというミサイル
を <ウクライナが保有する>
ソヴィエト時代のBuk発射機で発射
できるようにするというものだ。2つ目
として、アメリカのSidewinderという
空対空ミサイルとソヴィエト時代の
レーダーの組み合わせ。3番目のプロ
ジェクトは秘密とされているが、最も
効果の高いものとされている。

ロシアの戦闘機は、昨年
<2022年> 春以来、ウクライナの
制御している領空を飛んではいない。
だがロシアは長距離ミサイルと
ドローン両方の製造を増大させており、
2024年に入りウクライナのADネット
ワークが弱体化した場合には、戦況は
ロシア寄りに劇的に変化してしまう
だろう。

弾切れだと、何もできない・・・


防衛産業

エストニア国防省の推定によれば、
「西側同盟の155mm 砲撃システムは
ロシアの相当砲撃システムである
152mmシステムよりも射程が長く、
発射速度も高く、精度もよい。 現地
での火力での優越性をウクライナが
維持するには、最低でも毎月 200,000
発の砲弾を必要とする。これだけの
砲弾を供給すると、ヨーロッパと
アメリカの2024年用砲弾備蓄がなく
なってしまい、弾薬をその他諸国から
大量に買い入れる必要が生じる」

ウクライナは既に、弾薬の不足に悩んで
いる。ウクライナ軍の砲兵たちは弾薬を
散発的に使用するしか選択がない。
ウクライナの同盟諸国が現在供給できる
以上の弾薬を、ウクライナは必要として
いるのだ。この不測のためウクライナ軍
は、弾薬の割り当てを変更し軍事任務の
作戦を変更することを余儀なくされて
いる。「砲弾がないままでは、単に
ロシア軍に占領されている領土を取り
戻せないだけでなく、ロシア軍の攻撃を
止められず、結局はこの戦争に敗れる
ことになってしまう」 砲弾不足のため
ウクライナ軍(Armed Forces of Ukraine、
AFU)は一部の作戦の中断を余儀なく
された。

戦闘の前線全体にわたり、ウクライナは
今までソヴィエト時代の遺物兵器である
122mm と 152mm の砲弾の不足に
悩んできている。

今年9月、ウクライナは初めてロシア
軍と同等の火力を得た。だがその後、
ロシアは砲弾の輸入と製造量を増やし、
一方でウクライナへの西側からの国防
支援が減少していき、今ではロシア軍
からの砲弾発射量はウクライナからの
砲弾の5倍から7倍に達している。

これじゃ、刀でスナイパーに対抗するようなもの

 

それに応じウクライナは、国内での
砲弾製造の再建にフォーカスしている。
最近ウクライナは国際的な兵器企業
数社と数件の契約を締結、兵器と弾薬
の合弁製造の体制を固めた。だが
そうした製造ラインが稼働を始める
には、2から3年を要する。

この戦争が始まって約10年になるが、
アメリカとヨーロッパの防衛産業は
いまだに製造の増産に悩んでいる。
これは、国家政府が長期的な生産契約を
渋っているためだ。<その戦争が
始まった直後の2014年にNATO諸国が
集まりサミット会議をウェールズの
ニューポートで開催したのだが> その
ウェールズ会議から既に9年が経過して
いるものの、しかも戦争は拡大激化して
いるにも関わらず、その会議での決定
事項を守って実行しているのは出席
31か国のうちわずか11か国に過ぎない。
GDP比率で2%を防衛費に充て、防衛費
の中の20%を設備費とする、という
目標であったのだが。31か国のうち
5か国は、いずれの目標にも到達できて
いない。 その結果、西側はウクライナに
供与できる兵器と弾薬とが多かれ
少なかれ不足しているのだ。だがこの
欠乏は既に1年半前に「はっきりと警告
があった問題」<writing on the wall、
ヘブライ聖書(旧約聖書)のダニエル書
5章を参照> であり、西側は適切な
戦略を採択できなかったのだ。

これに対しロシアはその国防産業ベース
(defense industrial base、DIB)を
徐々に動員、ウクライナでの深刻な
損失に対処し長期的な戦争努力を維持
できるように努めている。経済制裁の
作用を軽減するための策略も、以前から
設定済みだ。プーティン大統領はロシア
経済と社会とを戦時体制に以降させつつ
ある。2024年のロシアの国防予算は、
同国の予算総額の29.4%に達しており、
1/3に近い。こうした動きには必ず問題
が伴うものだが、勝つためなら何でも
するという決意の実証であることに
間違いはない。

同盟があっても、同盟外の戦争にどこまで関与できるのか??


NATO
による抑止

NATOによる抑止は、作用しない。
なぜ作用しないのか、その理由には
いくつかあるのだが、最も重要な理由を
1つ選ぶとすれば、そもそもNATOと
いう抑止が作用するのであれば、今回の
ようなウクライナでの全面戦争は
始まっていない。なぜか?NATOという
同盟は「NATO諸国の安全保障に影響し
うる発生中の危機が軍事紛争に発展して
しまうことを防止し、すでに発生した
紛争が同盟諸国に影響するのを防止
する」ためのものなのだ。NATO は
ウクライナを守るという使命を認めて
おらず、あくまでウクライナを支援する
ことで時刻を守ろうとしているのだ
(その例が、ポーランドやエストニア、
ラトヴィア、リトアニア、チェコ
共和国、ルーマニアなどであり、
しかもそうした諸国が増えつつある)

侵略を検討しながら、ロシアは2010年
の戦略コンセプトで定めたところに則り
NATOの関りを査定していたこと
だろう。そして、NATOは恐れるに
足らずと判断したようだ。困ったことに
ロシアの判断は正しかったことが実証
されてしまった。

不協和音・・・

NATOの凋落

私 <Midttun> は以前、NATOという
同盟の今後に疑問を呈した。
Will NATO survive the war? – Euromaidan Press

NATOは言葉の上では団結を標榜して
いるが、その関与意識のレベルの
メンバー諸国間の違い、共通の戦略の
欠落、政治的意志の欠如や軍事力の
差などで不協和音を奏でている。
ヨーロッパは安全保障や国防への投資
において失敗を続けており、アメリカ
もヨーロッパへの関りという点では
目標に到達できず、さらには価値観や
原則の共有ができず統一性に欠ける。
NATO加盟諸国の間では、そのため
不整合が見られるのだ。

その結果、今回の <ウクライナでの>
戦争は規模と範囲という面でヨーロッパ
を巻き込んで拡大しつつあるのだ。

こんなのが当選したら ・・・

選挙

アメリカでもヨーロッパでも2024年
には重大な選挙がいくつかある。2024年
の大統領選挙でドナルド トランプが勝利
したら ・・・ というのが多くの人たち
の深刻な懸念事項になっている。
トランプはヨーロッパへのアメリカから
の支援を削減し、NATOからも脱退する
恐れがある。

だがアメリカ議会では民主・共和両党
ともウクライナへの強い支援方針を
示しており、アメリカの国益にとって
ウクライナの勝利がいかに不可欠かも
認識されている。そうであれば、
アメリカからの支援がなくなってしまう
ことは考えにくい。むしろ、支援の規模
や範囲が問題となろう。

そうはいっても、アメリカ政治では孤立
主義的な感情が長年存在してきている。
ウクライナそしてヨーロッパの安全保障
をめぐる安全保障や防衛政策の検討に
おいても、この孤立主義は大いに浮かび
出ている。バイデン政権は結局のところ
ウクライナを勝利に導くことはできて
いないのだ。

私 <Midttun> としては、ヨーロッパ
で予定されている選挙が気がかりだ。

生活費の高騰のため前例がないほどに
抗議活動が急増しており、ストやデモ
行為、暴動なども増え、世界的に
過激な活動が増大している。

そのため、政治的な局面も徐々に変化し
つつある。ヨーロッパ全体で極右政党が
勢力を拡大、NATOもEUも今後の結束
が危ぶまれている。オランダでは先日の
選挙で極右視力の政府が成立したが、
これもあくまで最新の「被害国」で
あるに過ぎない。

監視機関だけがあっても ・・
「いちぬけた~」があり得ます


チェンバレインが大勢なのにチャーチル

がいない
(この下にある「パート1」で、
最後の段落を参照)

アメリカにもヨーロッパにも、戦略的な
思想家がいない。「この時代における
平和」が何十年も続いた時代の後と
なった現在、各国政府も省庁も軍部も
学術界もメディアも、安全保障に関する
リスクや通常兵器ならびに核兵器による
戦争、危機管理、全体的な国防、抑止、
準備態勢、持続可能性、その他の問題を
大人の話し合いとして討議するための
経験も知識も、そしてヴォキャブラリー
さえも、失ってしまっているのだ。

この戦争が始まって10年になるが、
西側は今も今迄からの戦略を踏襲して
しまっている。その戦略のおかげで、
ロシアは平和を危機と紛争、戦争に
変えてしまったのだが。ロシアは対立を
激化させ拡大しつつあり、グローバル
サウスとの関係強化を進めているという
のに、西側はこの戦争からの「津波の
ようなさざ波効果」を甘んじて受け
止めているのだ。

新たな、より勇気ある戦略が間違いなく
必要だ。ウクライナでロシアが勝とう
ものなら、ヨーロッパの安全と安定も
破壊されてしまう。

バケモノは、こっちにもやってくる恐れが

本論調にある見解は著者自身のもので、
Kyiv Postの見解でもあるとは
限りません。

Hans Petter Midttun氏について:
独立系のアナリストで、Hybrid Warfare
を専門とする。Centre for Defence
Strategies(防衛戦略センター)の非常勤
フェロー、Ukrainian Institute for Security
and Law of the Sea(ウクライナ安全保障・
海洋法研究所)の理事会メンバー、また
ノルウェーの対ウクライナ国防アタッシェ
も歴任、またノルウェー軍士官でもある。

***************************************

核兵器保有国が「イカレて」しまったら
・・・
全世界が手に負えない事態になりかね
ない。
それが現実化してしまった実例が、
今現在進行しているわけですね。

ああ、見てられない・・・
私の人体デッサン, Croquis Cafe 200をベースに

核兵器と核発電の廃絶は人類の必須
課題の1つですが、「発電は平和利用
でしょ?」という無知な認識を、いま
だに目にします。日本では、反原発運動
の中でも、そうした誤認識を目撃して
きました。
そこで、日本語で「核兵器と核発電の
不可分性」を説明するウェブサイトと
して、本「やかんをのせたら~~」の
運営を続けております。

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炎に包まれるヨーロッパ: 2024年 の予測 (パート1)

Hans Petter Midttun氏による論調、
パート1
OPINION:
Europe in Flames: a Prognosis for
2024 (part 1)
(論調
炎に包まれるヨーロッパ: 2024年
の予測 (パート1) )

”Weeping Face”
私のかなり昔の作品

現在のウクライナでの戦争は、少なく
ても2つの点で「核」が絡んだ戦争です
よね。
・ ロシアによる核兵器使用の「脅し」
のため、西側が軍事的には介入できない
・ 核発電施設(原発)が戦闘に巻き
込まれている
その意味で、当のウクライナの報道
機関に紹介されている専門家による
本戦争の考察を、「やかんをのせたら
~~」では取り上げないわけにまいり
ません。
ノルウェーの軍事顧問などを務めた
独立系アナリスト Midttun さんの考察
が、Kyiv Postに紹介されていますので
紹介しますね。

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

英語の原テキストを読める方は、
そちらにどうぞ:
Kyiv Post — Ukraine’s Global Voice
(ウクライナで最も長い歴史を誇る
英語紙です)
Opinion: Europe in Flames – a Prognosis for 2024, Part1 (kyivpost.com)

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Out in the cold —
私のかなり昔の15分クロッキー

ロシアVSウクライナ戦争は決して、
特定地域だけの紛争ではない。
ヨーロッパの未来が左右される。
西側を待ち受ける選択肢を考察する、
5つのパートからなる徹底論調の
パート1。

Hans Petter Midttun
2023年12月26日

パート1: 基礎事項

予測をするのは、困難な作業ではない。
だが的確な予測をするとなると、
大変だ。そのため、何が変化しうる
要因で、何がそうではないのかを明確
にすることが大切だ。私の2024年
予測では、現状を続けるとみられる
要因の一部と、変化がありそうな要因
の一部とに光を当てる。

まず時間と空間を問わず現状のままで
あり続けそうな要因であるが、それら
をこの分析の出発点としよう。一方の
変動要因とは、2024年にこの戦争の
要望を作っていきそうな要因である。
そうした要因の例として、ネガティブ
なトレンドとポジティブなトレンドの
両方がある。ただし、変動要因の中には
ネガティブにもポジティブにもなりえる
ものもある。不確実性や未知の要因だ。

振り返れば、あの日・あの時 ・・・
オイルパステルでの20分クロッキー


現状を続けそうな要因

まず、この戦争を分析する場合、必ず
2014 年という年が開始地点となる。
2024年2月20日が来れば、この戦争
は <ロシアによるクリミア侵略開始
から数えるなら> 10年続いている
ことになる。確かに2022年2月24日
にこの戦争は劇的に拡大したのだが、
それでも「Hybrid War」(複合戦争)
であることに違いはない。

侵略者も同じ、兵器や目的も同じ、採用
戦略も同じ、使うツールも変わって
いない。2014年から。

2年前にロシアは、主な努力の在り方を
非軍事的な努力から軍事的なものに切り
替えた。だがその軍事的努力は、今も
あらゆる非軍事的ツール (たとえば、
外交や政治、エネルギー、経済、情報、
安全保障、州境など) に支えられて
いる。

情報操作やプロパガンダ、積極的な
各種手段が今も、Hybrid Warに不可欠
な要素である。ほぼ10年間続いている
この戦争の展開している主な領域とは、
市民たちや意思決定・政策決定者たちの
認識という空間の内部にある。戦闘や
情報操作、サイバー攻撃、脅迫、脅し、
挑発、でっち上げ、軍事偽装、その他の
手の込んだ手段により、一種の仮想
現実を作り上げているのだ。それを
受けて西側はロシアの望むような政治的
決定を下しているのだが、それがロシア
の操作によるものだとは考えもして
いない、あるいは認めていないので
ある。

え!!下手すると核使うぞって ・・・

核による脅迫は、絶えずこの戦略の一部
であった。だがそれ以上に今では、
ウクライナでロシア陸軍が苦闘して
いるが、その核という「既成事実」戦略
が大変効果的であることは、既に何年も
実証されてきている。そのために西側
<の軍隊> は踏み込めず、ウクライナに
決定的に関わる決断ができないでいる。

この戦争の最初の8年間もそうであった
が、交渉をほのめかすことで西側の
ウクライナ支援という決意が揺るぎ、
支援が手薄になっている。

第2に、ロシアの狙いは2014年から
変わっていない。<今年の> 12月9日
ロシア外務省のスポークスパーソン
Maria Zakharova は「ウクライナを
中立・非同盟・非核という状態に保ち、
その武装解除と非ナチ化を進め、
<ロシアが略奪した> 新たな領土を認め
ウクライナに暮らすロシア語を話す住民
や少数派文化集団の権利を確保すること
が重要だ」と強く述べていた。

「非ナチ化」という用語は、ロシアに
都合の良い政権変革を言う。「武装解除」
と「ウクライナの中立・非同盟・非核」
は今後のロシアによる領土などの拡大に
対し、位名が無防御に晒されるという
ことだ。

その5日後 <12月14日> に
プーティン大統領は「ウクライナの
非ナチ化や武装解除、中立といった
・・・ 目標を実現すれば、平和が
訪れる」と力説した。

諦めねえからな!

ウクライナとその国際的なパートナー
諸国による抵抗にも関わらず、ロシアは
ウクライナ(とベラルーシ)を服従
させるという目標を諦めていない。
ロシアはすでにクリミアと4つの州を
非合法に併合しているが、それ以外の
地域への領土的野望は衰えてはいない。
さらに重大な問題として、ロシアは今も
アメリカやヨーロッパの犠牲の上で
超大国としてのステータスを勝ち取ろう
と躍起だ。旧ソヴィエト連邦の解体に
よって被った歴史的な不当な被害を正し
たいと、ロシア政府は考えているのだ。
かくして、東部ヨーロッパ背の影響力
を取り戻そうとしているのである。

第3に、現在の戦争はロシア対西側と
いう大きな意味での対立の一部でも
ある。ウクライナを降参させるという
のは、はるかに大規模の目標の一部に
過ぎない。ウクライナなしでは、ロシア
は超大国にはなれないのだ。ウクライナ
(とベラルーシ)とをロシア連邦に取り
込んだ暁には、ロシアは大規模な人口
動態問題を解消できると睨んでいる。
さらにロシアは、ウクライナの防衛産業
や技術、それに関連した制度や機関、
世界有数の農業地域の一部、さらに鉱物
資源、天然ガス、石油の豊富な埋蔵をも
掌中に収めようとしている。<この併合
が実現するなら> 少なくても、ロシア
軍をロンドン、ベルリン、パリから
今までより1,000㎞近い位置に配備
できるようになる。

ウクライナを従属させることは、ロシア
が超大国としてのステータスを手に
入れるための前提である。アメリカ
そして中国と肩を並べる超大国と認め
られるには、人口も経済力も技術も、
したがって軍事力も強力でなければ
ならないのだ。

俺たちは配備する、お前らはするな!
どういう屁理屈や!?

つまり、ヨーロッパのすぐ隣に攻撃的で
帝国主義的な大国が出来てしまい、
それが軍事力を行使して次の目標を
達成しようとするわけだ。その「次の
目標」とは、ヨーロッパへの影響力だ。
NATO軍を1997年の境界にまで引き
下がらせること、アメリカが軍と
核兵器をヨーロッパに配備できない
ようにすること、なのである。

第4に、今回の戦争は根本を揺るがす
ものだ。ウクライナは、存亡をかけて
戦っている。ロシアは、超大国になり
たいという野望にうなされて戦争を
始めた。その野望を実現するには、
ウクライナを破りロシアに併合して
しまうことが不可欠だ。こうした、
相手に挑発されたわけでもない戦争を
始めてしまうと、引っ込みはつかない。
友好諸国も、敵に回してしまった。
世界はもはやロシアのことを、帝国
主義的、侵略的な犯罪国家と見なして
いる。結果としてあり得るのは、勝利
を収め(そして超大国となった)
ロシアか、敗北し(国際コミュニティ
ではパーリア国家と扱われる)ロシア
か、のいずれかなのだ。

だがその同じ今回の戦争は、西側に
とっても根本を揺るがすものだ。
ヨーロッパの安全を保つ多雨には、
ウクライナが領土を完全に保ち、
独立と主権を維持することが不可欠
なのだ。Josep Borrel <スペインの
政治家、以前に欧州議会の議長も
務めた> の言葉を借りれば、
「ウクライナの敗北は、我々
ヨーロッパの敗北だ」なのである。

第5に、ウクライナへの敗北をロシアが
認めることは決してありえないという
ことを、我々は弁えておく必要がある。
西側が歩調を揃えてウクライナに必要な
ものを供給、ウクライナがロシア軍を
国外に追放できたとしても、ロシアは
敗北を認めることはない。ロシアの
歪んだ「物語」の中では、ウクライナ
は「存在しない」ことになっている
からだ。

核を持った国家は、下手をすれば
隣国の存在そのものを ・・・

ベストのシナリオでも、ロシアが
ウクライナからの撤退を受け入れると
すれば、受け入れなければウクライナ
よりもはるかに強力な相手と戦わねば
ならなくなる場合だ。そうなれば、
ロシアの現体制も国家の存続も危ぶまれ
てしまうリスクがある。

最後に西側は昔からの行動習慣を踏襲
している。1930年代にそうしたように
西側は侵略国家が平和を破壊し危機と
紛争、戦争を引き起こすのを傍観する
ことを選んでしまった。その結果、
侵略者は軍事力によって戦略的目標を
達成できると信じ込むに至って
しまった。

根拠なき恐怖 ・・・

再度、西側は根拠なき恐怖に支配されて
しまっている。過去の戦争(と国際的な
作戦)の経験に嫌気がさし、戦略的な
思考をする者もいない。「今は平和な
時代だ」という精神性が支配的なのだが、
現実はその反対なのだが。自由世界には
現在、チェンバレインは有り余るほど
いるのだが、チャーチルがいない。
<Arthur Neville Chamberlain (1869 –
1940) は昔の英国の首相 (1937 – 1940)。
ナチスに対する宥和政策を採用した。
一方の Winston L. S. Churchill (首相
在任は1940 – 1945, 1951 – 1955) は
ナチスに対する対抗姿勢を示した>
第二次大戦前夜の時代と同じく、
ヨーロッパもアメリカも火災が鎮火
不能に広がる前に消化してしまおうと
いう意志に欠けるのだ。

ああ、鬱になりそうな ・・・
私の点描練習

本論調にある見解は著者自身のもので、
Kyiv Postの見解でもあるとは限り
ません。

Hans Petter Midttun氏について:
独立系のアナリストで、Hybrid Warfare
を専門とする。Centre for Defence
Strategies(防衛戦略センター)の非常勤
フェロー、Ukrainian Institute for Security
and Law of the Sea(ウクライナ安全保障・
海洋法研究所)の理事会メンバー、また
ノルウェーの対ウクライナ国防アタッシェ
も歴任、またノルウェー軍士官でもある。
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ヨーロッパがロシアにどう向き合う
べきか、というお話ですが、そこでも
やはり核問題が絡んでいますよね。
核兵器というものは実に厄介なもので、
それを人類はわざわざ作ってしまったの
です。廃絶するのが「ヒトの責任」だ、
と言ってよいでしょう。

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イスラエル企業がγ線防御技術を

イスラエル企業がγ腺防御技術を

The Times of Israelのウェブサイトより
Israel’s StemRad inks $4.5m contract to shield US troops from gamma radiation (msn.com)

Israel’s StemRad inks $4.5m contract
to shield US troops from gamma
radiation
(イスラエルのStemRad社、アメリカ
軍兵士をγ放射線から守る技術の供給
を、450万ドルで契約)

防御服の類は、いろんな場面で必要に

イスラエルのStemRadという放射線
防御用品の企業が、ヒトをγ腺から
守る技術を開発、アメリカ軍などに
販売するかも、というニュースです。
放射線はいずれも人体に有害ですが、
γ腺は特に貫通力が強く、防御し
にくいのは有名ですよね。それから
人体を守れる技術ができたのなら、
それ自体は良い知らせなのですが ・・・
そもそも、核兵器と核発電を廃絶
すれば、もっと効果的で安価な
「防御策」になるはずでして。

では、いつもどおり
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

********************************
Sharon Wrobel記者
2023年12月22日

γ腺は人を死に至らせる危険性を有して
いるが、イスラエルで開発した技術が、
アメリカ軍兵士たちをそのγ腺から守る
ことになりそうだ。これがあれば
アメリカ軍兵士たちは、アメリカ国内
での核事故に対して対応しやすくなる。

イスラエルのStemRad社は放射線
防御服を開発している企業で、その
防御技術は宇宙探索や緊急対応、軍隊、
核発電作業員、医療人員などに活用
されている。そのStemRad社が
アメリカ国防省と、450万ドルの契約を
締結した。同社の放射線防御シールドを
アメリカ警備隊(National Guard)に
導入するためだ。.

テロ防御でも、やはり防御服は必要になるし~

この契約の一環として、イスラエルと
アメリカにまたがった企業である同社
は、360 Gammaという放射線防御用
ベルト630着を、アメリカ国内での
放射線事故などに対応する陸軍や空軍
の人員に供給する。こうした事態と
しては、ダーティ ボムやテロリスト
や敵国軍による攻撃、原子炉のメルト
ダウンなどの事故、その他がある。
さらにStemRad ではケンタッキー州
レキシントンにある国家警備隊事態
対応支援センター(National Guard
Consequence Management Support
Center)にて現地でのトレーニング
も行う。

「この21世紀、核と放射線の脅威は
増大の一方だ」 そう語るのは、
StemRad社のCEOを務めるOren
Milsteinだ。「ウクライナ島南部に
ありヨーロッパ最大の原発である
ザポリージャ原発を現在ロシア軍が
占拠している。イランや北朝鮮と
いったいくつかの国々も、核兵器
保有を目指しているか、既に保有
している」

「そうした展開の中、緊急事態対応策と
緊急対応人員を有害なγ線から守ること
の重要性が浮き上がる」とMilstein は
述べた。

イスラエルとアメリカにまたがった企業
であるStemRadは、2011年の福島第一
事故を受け、緊急対応人員を保護する
技術を開発しようと、Milstein と Daniel
Levittとが設立した。原発事故などでは
緊急対応人員は、貫通力の極めて強い
ガンマ線に被ばくしてしまう。
StemRadの放射線防御スーツは、原発
の作業員や放射線を浴びる緊急対応員、
内科医、軍人、宇宙飛行士などを防御
するために使用される。

裸体に放射線を浴びたりすると、大変なことに ・・・
私の昔の作品
Pastel on paper

テル アヴィヴに本社を置くStemRadは
アメリカのフロリダ州タンパ ベイにも
オフィスを有しており、生物学の専門家
や核物理学者、産業デザイナーたちの
チームを擁している。その中には、
ノーベル賞受賞者3名もいる。

現在までに同社は1,600万ドルを集めて
おり、リード投資家Jeff Vinikの支援を
受けている。Vinikは以前にはFidelity社
でヘッジ ファンド マネジャーを務め、
またフロリダのホッケー チーム「タンパ
ベイ ライトニング」(Tampa Bay
Lightning)のオーナーでもある。さらに
Alex Gurevich博士は以前、JP Morgan
ならびにタンパ ベイの <資産家で
ある> パテル一家で、グローバル
マクロ トレーディングのヘッドで
あった。

StemRadの技術は全身を保護しようと
するものではなく、放射線に対して特に
敏感な内臓器官を選んで保護する。
そうした器官の例として、腰や背骨の
骨髄や胃腸がある。

γ線に被曝すると、放射線障害を起こす
危険がある。以前には急性放射線症候群
と呼ばれていたもので、血液細胞の破壊
の加速、骨髄の損傷が続くため血液細胞
の補充ができなくなる、などの問題が
生じる。新たな血液細胞を作り出すには
骨髄 <の健全な機能> が必要だ。

全身の骨髄の約50%は鼠径部ならびに
胴体の中央部にある。そうした個所を
StemRadのスーツが保護するのだ。
これにより、作業員や緊急対応員は
放射線の悪影響から保護され、しかも
他人を助けるために必要なだけの体の
自由な動きを維持できる。

動けないんじゃ、意味がない~

「人体保護のための製品として弊社の
製品が承認を得たので、2024 年から
2025年にかけてアメリカ軍の他の部門
いくつかも弊社の技術の購入を検討して
いる。今後何か月かで、アメリカ本土の
防衛を任務としているアメリカ軍の
警備隊以外の各種部門も弊社の製品を
入手することとなろう。さらにその後
には、戦闘部門にも進出する計画だ」
とMilsteinは述べている。

「さらにその他の顧客候補としては、
核発電企業、アメリカ以外の軍隊
(NATO加盟諸国など)、人口が密集
した大都市の消防隊員などがある」
とも、彼は述べている。

2023年これまでに、StemRadはその
360 Gamma放射線シールドを60着、
ウクライナの緊急対応や緊急救助
サービスに寄贈した。ザポリージャ原発
の近辺に配備されている人員だ。この
シールドはベストの一種で身体に着用
するのだが、それをMilstein 自らが
キーフに届けた。ウクライナ南部に
ある原発へのたびたびの砲撃やロシア
のヴラディミール プーティン大統領
による核兵器使用の脅しなど、
ウクライナでの戦争の展開を受けて
のことである。

ダミーだよ

アメリカ国防省以外にも、StemRadは
<イスラエルの> ディモナにある
ネゲヴ核研究センター(Negev Nuclear
Research Center)やアメリカの議会
衛視、さらにはアメリカと日本の
いくつかの消防署とも契約を締結して
いる。またMilsteinによれば、商的な
セクターの顧客企業としてフロリダに
ある原発の原子炉2基とも契約
している。

StemRadの技術はさらに、宇宙でも
試験を受けている。NASAの無人宇宙
ミッションArtemis I が発射され宇宙
デビューを果たしたが、それには
同社のAstroRadというスーツを
まとったダミー人形が乗り込んでいた。
この放射線防御スーツはアメリカの
防衛企業大手ロッキード マーティン
(Lockheed Martin)と共同開発した
もので、重要な器官をγ線から守る
ためのスーツだ。
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ぬか喜びだった・・・私のかなり昔の10分クロッキー

上の記事にもあるように、1991年に
冷戦が集結してしばらくは、世界から
核の脅威が薄らいだと暢気に構える
流れが支配的でした。でも21世紀に
入ってしばらく経過してみると、
核の脅威は全く軽減していない
どころか、新たな核兵器保有国が
生じている始末です。
核兵器と「もともと核兵器の製造
手段であった」核発電との廃絶を
求める世界的な動きが、もっと
喧しくなってしかるべきでしょう。

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核発電を3倍にという合意、暗礁に ~ Beyond Nuclear Bulletin 2023年12月21日号より

Beyond Nuclear Bulletin
2023年12月21日号より

Triple nuclear plan lands with a thud – Beyond Nuclear

Triple nuclear plan lands with a thud
(核発電を3倍にという合意、暗礁に)

COP28での「核発電を3倍に」という
誓約の件ですが、「やっぱりなあ~」
と言いたくなる現状のようです。
Beyond Nuclear Bulletinより、
その記事を。

笑うしかない目標 ~~

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
***********************************

核発電を3倍にという合意、暗礁に

2023年12月19日

COP28では、2050年までに全世界の
核発電容量を3倍にする宣言がなされ
たが、この会議の終了後にさらに精彩
を失うことになった。まず、Sharon
Squassoni
 <という科学者> が
The Bulletin of the Atomic Scientists
に優れた数の分析を披露している。
核発電を拡大しようとしているのは、
わずか22か国に過ぎない。しかも、
そのうち17か国では、既に核発電
プログラムをすでに進めている。
残る5か国には核発電プログラムが
なかったが、Squassoniによれば
「これら5か国が今後20年間で
核エネルギーを3倍にするという目標
に大きく貢献できる見込みは小さい」

Squassoniはさらに、「その5か国
以外の <核発電プログラムを既に
有している> 17の署名諸国は、
核エネルギーを利用している世界の
すべての国のうち半数強に過ぎない。
そのため、現実に2050年までに
核エネルギー利用を3倍にすると
いう目標達成には、どれだけの
サポートがあるのかという疑問が
生じる」

明日の地球??こんなことに、なりませぬよう!

Common Dreams <という
アメリカに本拠を置くニュース
ウェブサイト> の運営編集長である
Jon Queallyは、気候変動の活動家たち
や学者たちからの批判を集めているが、
そうした人々全員の結論として今回の
核発電宣言は危険なもので、気候変動
対策を妨害してしまうとともに、
「<核発電は> あまりにも費用が
かさみ、リスクも大きすぎ、民主主義
に反し、工期もかかり過ぎる」

さらにQueallyはある事実を思い
起こさせてくれている。既に2019年
に「ハーヴァード大学のNaomi
Oreskes教授と著名な作家にして心理
歴史学者のRobert Jay Liftonが」既に
著していたことだが、「核発電の
提唱者たちは核発電は ”クリーンで
効率的、経済的、安全な技術だ” と
主張しているが、実際にはそのいずれも
該当しないことは既知の事実なのだ」
Orsekes と Liptonがその当時に記した
ように、「<核発電は> 高価なうえに
我々の物質面にも心理面にも深刻な
危険をもたらす」  両者は「気候変動
対策の技術として核発電を採用して
しまうなら」、原発の新設が加速し
「世界規模の核危険性地帯ができて
しまう。地球規模の危険システムで
あり、人類の自己滅亡を招きかねない」

無理です ・・・

World Nuclear Industry Status Report 
<この下にある12月9日付の記事でも
登場してます> の2023年版が先日
発行されたところだが、その主要著者
であるMycle Schneiderが The Bulletin
of the Atomic Scientistsのインタビュー
を受けた際、今回のCOPの核発電
3倍宣言は「実現可能性という点では
実現不可能だ」と述べている。.

Schneiderはさらに、次のように述べて
いる。「小型モジュール式原子炉
<SMR、上の黒いメニューでページ
s-1) 参照> を利用してこの目標の
実現に近づこうとするのであれば、
その目標に近づくためにはSMRを
何百基、何千基と新設せねばなら
なくなる。そんなことは、不可能だ。
現実を直視して何が実際に実現可能
なのかを議論すべきだ。
それを議論して初めて、ある目標の
賛否を論じることが可能になる」

一方の2030年までに再生可能
エネルギーを3倍に増大させるという
目標については、Schneiderは「今から
7年以内、という目標だが、私の見方
ではこの再生可能エネルギー増大目標
を達成できれば、核エネルギー増大
目標の亡骸を収めた棺桶に、とどめと
なる釘を刺すこととなろう」と指摘
している。
****************************************

絵に描いた餅」ならぬ「絵に描いた原発」

だいたい、核発電は大事故が発生しなく
ても、とにかく巨額のカネがかかる
ものです。
計画から発電までの調査や交渉、工事
期間も長いですし。廃炉作業も長期間・
巨大費用を擁しますよね。(現在、
日本の東海村で実証済みです)

そんなものをワザワザ3倍に増やそう
といっても、乗ってくる国がわずか
なのは、初めから目に見えていたこと
でして ・・・ たとえ事故が全く
なくても、核発電とはひどいカネクイ
ムシで非現実的な代物ですね。
そんなカネクイムシに喰わせる資金が
あるのなら、はるかに安上がりな再生
可能エネルギーに投じるべきでしょう。
(上の黒いメニューにある 付録 w-14)
も参照)

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先日の北朝鮮による ミサイル発射に関するAPの報道

North Korea and Russia clash with US,
South Korea, and allies over
Pyongyang’s latest missile launch
(北朝鮮とロシア、先日の北朝鮮による
ミサイル発射に関しアメリカや韓国、
その他同盟諸国と対立)

North Korea and Russia clash with US, South Korea and allies over Pyongyang’s latest missile launch (msn.com)

日本語になると、軍事面の情報が少なくなるのは、なんでやねん??

北朝鮮のミサイル発射については、
日本語メディアでも頻繁に取り上げて
らっしゃるので、「やかんをのせたら
~~」ではあまりカバーしません
でした。その代わり、日本語メディア
でほぼ無視されているイランの
ウラニウム濃縮などに注力してきた
のですね。
ところが。
最近どうも、日本語メディアによる
北朝鮮ミサイルのカバレッジが、短く
浅いものになってしまっているように
私には思えてなりません。
そこで、つい先日のミサイル発射に
ついて、APの報道を紹介しますね。

いつもどおり、
私の抜粋・日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

なんで、私を仲間外れに~~!?
そりゃ、ミサイル飛ばしてたら ・・・
けど、非難している側も核ミサイル持ってるってとこが~~

****************************************

Edith M. Lederer記者、AP

2023年12月20日

国連発 (AP) — 先日、北朝鮮が大陸間
弾道ミサイルを発射したが、それを受け
国連は火曜日 <12月19日> 緊急の
安全保障理事会の会合を開いた。そこで
北朝鮮とロシアが、」アメリカ、韓国、
その同盟諸国と対立した。北朝鮮はこの
対立を、アメリカや対立勢力からの脅威
に対する「対抗警告措置だ」と主張して
いる。

北朝鮮の国連大使キム ソン(Kim Song)
は、韓半島 <朝鮮半島> の軍事・安全
保障情勢という点で、今年は「最悪の年
だ」と述べている。米韓合同軍事演習の
拡大と、「核戦争の危険」が高まって
いる <この半島という> 地域に
アメリカが原子力潜水艦を配備したうえ
その他の核施設まで導入したことを
指摘している。

一方、アメリカとその同盟国9か国は、
今年ここまでにICBMを5回、さらに
弾道ミサイル技術を利用して弾道
ミサイルを25回、人工衛星を3回
打ち上げたことを指摘した。 これは
安全保障理事会の複数の決議に違反
しており、「近隣諸国ならびに国際
コミュニティの平和と安全を」脅かす
ものだ、としている。

この会議の直前に他の諸国の大使たち
に囲まれた中でアメリカの国連大使代理
ロバート ウッド(Robert Wood)が
読み上げた声明では、アメリカと韓国を
含む10 か国は12月18日のICBM発射
とそれ以前のすべての発射とを非難した。

対立 ・・・

キムは国債コミュニティに対し、北朝鮮
の安全保障上の懸念事項を考えるよう
強く要請、北朝鮮による <上述の避難
への> 対抗措置は、北朝鮮が自国を
防衛するという当然の権利を履行した
もので、「明らかに打倒、正常な対応」
であると主張した。

キムはアメリカと韓国に対し、両国が
「無謀で無責任な <北朝鮮への>
軍事的脅威」を続けるのであれば、
北朝鮮軍は「立ちすくむことなど
ありえず、どのような結果を招いても
それは全面的に挑発した諸国の責任で
ある」と警告を発している。

北朝鮮はさらに「さらに先進的な武装
による戦略的実力の強化に努め、
アメリカやその同盟諸コックからの
脅威をはねのけ、制圧する。圧倒的で
決定的な反撃を、直ちに展開するのだ」
と、キムの警告は続いている。

安全保障理事会は、2006年に北朝鮮が
最初の核爆発実験を実施した後に制裁
を科した。それ以後も合計で10の
決議を採択して制裁を強化、北朝鮮の
核や弾道ミサイル プログラムを止め
させるための資金枯渇に努めてきたが
今までのところ功を奏していない。

最後の制裁決議が採択されたのは
2017年12月のことだった。2022年
5月にもアメリカ主導で決議が提唱
されたのだが、中国とロシアが拒否権
を発動した。この決議が採択されて
いれば、北朝鮮による大量の大陸間
弾道ミサイルの発射に対し新たな制裁
を設けることができたはずであった。
理事会としての審議などを、ロシアと
中国が拒否権を行使して食い止め、
<理事会としての> メディアでの
発表もその時以来できなくなった。

黙っていては~~

両国と対立している10か国、つまり
アルバニア、エクアドル、フランス、
日本、マルタ、韓国、スロヴェニア、
スイス、英国、そしてアメリカは、
安全保障理事会が沈黙していては
「違反諸国すべてと北朝鮮とに、
誤ったメッセージを送ってしまう」
と述べている。

これら10か国は北朝鮮に対し非合法な
核開発と弾道ミサイル開発のプログラム
を破棄し、「北朝鮮国民に充分な食料を
提供」して外交努力に切り替えるよう
求めている。さらに安全保障理事会の
すべての加盟諸国に対し、あまりにも
長期間続いている沈黙をため、
核不拡散体制を支えるよう強く要請
している。

一方、ロシアの国連大使代理アンナ
エフスティニェーナ(Anna Evstigneeva)
は、こうした北朝鮮への非難を求める
動きは「一方的なアプローチだ」と
している。

言葉なんて、どうにでも言える

ロシアの同大使は、状況は悪化を続けて
おり「危険の一歩手前にいる」と主張
している。北朝鮮も韓国も自己防衛と
いう名の下で敵対的な動きを正当化
しているとの指摘だ。さらにこの大使
代理は、アメリカが膨大な軍備を
韓半島地域に展開していると非難、
それが「<北朝鮮への> 攻撃作戦の
用意のようにいよいよ見受けられる」と
している。 アメリカ側は、敵対的な
意図は一切ないと主張しているのだが。

エフスティニェーナによれば、ロシア
は再度、「外的な圧力のない」政治的・
外交的手段で韓半島でのすべての問題
を平和的に解決するよう要請する
そうだ。

アメリカの国連大使代理ウッドはこれに
反論、アメリカの軍事演習は防衛のため
のものであり、国連安全保障理事会の
決議に違反したのは北朝鮮であり、韓国
でも日本でもアメリカでもないと述べて
いる。ウッドによれば、アメリカは
北朝鮮との無条件での話し合いを幾度も
開催しようとしたのだが、北朝鮮が拒否
してきた、とのことだ。
************************************

しっかりしなきゃ!
私の20分クロッキー

まあ、特に韓半島情勢などに詳しい
ウェブサイトなどであれば、この程度
の内容は日本語のサイトでもカバー
してらっしゃるものと思います。
しかし。日本語でのこの種のニュースは
多くがAPやReutersなどからの情報
ですから、やはり元の通信社による報道
を読んでおくことも必要ですよね。
そんな意味で、今後も時折、北朝鮮の
軍事関連の報道も紹介してまいり
ますね。

それと、ヨンビョンの原子炉 ⇒ Pu ⇒
核兵器開発という流れを考えれば、
「最近 旗色の悪い」日本の反原発団体
が「核発電と核兵器との不可分性」を
社会に訴え、核発電廃止を求める根拠の
強化に努めるうえでは、こうした北朝鮮
によるミサイル発射には声を上げるべき
だと考えます。もちろん、アメリカや
ロシアの核兵器に対しても。

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2050年までにウクライナが原発発電量 を3倍に?COP28の戯言?

2050年までにウクライナが原発発電量
を3倍に?COP28の戯言?

Ukraine Newsより
Ukraine pledges to triple use of atomic energy by 2050 | Ukrainian news (ukranews.com)

平和を祈っております!
私の、かなり昔のTシャツ作品

どうもCOP28の背後には、核発電産業
の裏金でも蠢いているのでしょうか??
原発をロシア軍に占拠されて困り果てて
いるはずのウクライナが、こんな約束
を?
それに、現在の戦争が終わった後には
ウクライナは巨額をかけて復興せねば
いけないはずですが、そのときに原発を
建設していたのでは、膨大な経費も
工事期間もかかります。そういう国に
とって、原発の新設というのはまったく
現実的ではない選択であるハズ。
すると、次の疑念も湧いてきますよね:
「それとも、実はウクライナは戦後、
核兵器を開発・保有することも視野に
入れているのか? 今後のロシアからの
侵略などを防ぐために??」
そうでないことを、私は願いますが~

なお、核発電が本当に気候変動対策
として役に立つのか否かについては、
本ウェブサイト「やかんをのせたら
~~」でも、黒いメニューの下の方
にある
付録 w-1) , w-3) , w-8)
をご覧くださいな。
他にも、この問題については多様な
ウェブサイトなどが取り上げて
らっしゃいます。

「燃料製造用の発電で煙だらけ、表向きはきれい」

では、いつもどおり
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

************************************
Ukraine pledges to triple use of
atomic energy by 2050
(ウクライナ、2050年までに核発電量
を3倍にすると誓約)

Tetiana Herasimova
2023年12月14日

ウクライナ、2050年までに核エネルギーの使用を3倍に、再生可能エネルギーの発電量も2030年までに3倍に、それぞれ増大すると約束

これを発表したのは <ウクライナの> エネルギー省の広報部門であると、ウクライナ ニュース機関 (Ukrainian News Agency) は述べている。

この報道によれば、気候変動対策会議COP 28 においてウクライナは2つの国際的宣言に署名した。

– 核エネルギーの使用量を3倍に増大する(2050年までに).

– 再生可能エネルギー システムの容量も3倍に増やす(2030年までに)

ウクライナのエネルギー大臣Herman Halushchenkoが2050年までにエネルギー部門を脱炭素化するとの報告を提出したが、これはアメリカのネット ゼロ ワールド (Net Zero World) というイニシアティブの一環として、アメリカの国立各研究所や科学者たち、専門家たちとの協働でエネルギー省からの支援を受け 作成したものだ。

さらに同報告によると、ウクライナのエネルギー施設の復旧や小型モジュール原子炉 <SMR、上の黒いメニューでページ s-1) に説明があります> に必要な基盤の開発とを、アメリカは今後も支援していくとのこと。

さらに、2030年までに国家エネルギー・気候変動計画 (National Energy and Climate Plan、NECP)を作成する作業における進捗も報じられている。.

PWR(加圧水型)の原理
再掲

<ウクライナの国営核発電企業である> Energoatom国営原子力発電社 (National Nuclear Power Generating Company) がウクライナの原発を運用しており、同国の原発はザポリージャ、リウネ、南ウクライナ、クメルニツキーの4か所だ。合計で発電ユニット15基を擁している。(そのうち13がVVER-1000という原子炉、2基がVVER-440 <どちらも、西側でいうPWRに相当します>)  合計での発電容量は、13,835 MWだ。

ザポリージャ原発は、ヨーロッパでは最大の原発。VVER-1000原子炉6基を擁し、総発電容量は6 GWだ。

2022年3月4日、同原発はロシア軍部隊に占拠された。

一方、<ウクライナの非政府系シンクタンクで政治経済問題を扱う> ラズムコフ センター(Razumkov Center)が2021年12月31日付で発表したところによば、 同国のエネルギー部門が設置している再生可能エネルギーの総発電容量は 9,655.9 MWで、これには個人住宅用のソーラー装置も含む。

だが2023年初頭にエネルギー省が報じたところでは、ロシアの侵略のため、ウクライナは既存の風力発電量の約90%、太陽発電も最大で40%を失ったそうだ。

Ukrainian News Agency が以前に報じているように、ウクライナは2032年までに核発電ユニットを2基新設し、SMRのパイロット プロジェクトも開始する計画だ。
***************************************

冒頭で申し上げた通り、どうも私には理解困難な決断です。
SMRがたびたび登場しているので、「売れていない」SMR業界からの宣伝・圧力があるのかと、勘ぐってしまいますね。

一刻も早くウクライナに平和が戻ることを祈り続けている私としては、戦後の復興のことも考えざるを得ません。そのときに、「SMRなら、とりあえず小さいので大型原発よりも安価に設置して電力を供給できる」ということで、SMRを設置する計画なのでしょうかねえ??

分からない~~
私の昔の作品

しかし。
SMRであっても、ただ小型というだけで、送電グリッドからの外部電源供給がなければ原子炉を冷却できないことは同じです。そのグリッドが、ロシア軍に痛めつけられていますよね、既に。
さらに、西側のSMR設計でアメリカのNRCから承認を受けているものは、現時点でNuScale社のものだけだったと思いますが、そのNuScaleのビジネス展開が暗礁に乗り上げていることは、下の11月4日の記事で紹介済みです。
(右の「アーカイブ」下で2023年11月をクリック ⇒ ページの最下部左にある <- Older posts をクリック)

隣国ロシアが「お隣さんに攻め込んで、領土をいただく」という体質を持っている限り、核発電には手を出さないのが現実的な選択だと、私は思うのですが ~~

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英国セラフィールドは悲惨とカネと絶望 の底なし沼

英国セラフィールドは悲惨とカネと絶望
の底なし沼

The Guardianの”Nuclear Leaks”
(核関連のすっぱ抜き)
Sellafield: ‘bottomless pit of hell, money and despair’ at Europe’s most toxic nuclear site | Energy industry | The Guardian

Beyond Nuclear Bulletinの2023年
12月14日号で紹介されている、The
Guardianによる英国セラフィールド
(ウィンズケール)核施設に関する
記事です。

まず、Bulletinの記事を日本語化して
紹介します。
その後で、The Guardianの記事を
抜粋・日本語化して紹介しますね。

ふたつとも紹介しますよ

いつもどおり、私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

Beyond Nuclear Bulletinの2023年
12月14日号より:
*******************************
Plutonium time bomb
A shocking expose on Sellafield
(プルトニウムという時限爆弾
セラフィールド核施設に関する驚愕の
事実が露呈)

英国の日刊紙The Guardian では1年
にわたり同国にあるセラフィールド
再処理施設・各廃棄物処分場の調査を
実施してきているが、その結果、驚愕
の事実が露呈した。その1つとして、
地球上で最大のプルトニウムを保管
しているこの再処理施設に、ロシアと
中国に強く結びついているサイバー
グループがハッキングを行ったのだ。
ただし英国政府はそれを否定して
いる。さらにこの施設は等級化が激しく
危険であり、そこでの職場体質が有害で
「ヨーロッパでも最も有害な核施設の
安全性を脅かしかねない恐れがある」
セラフィールドではいじめや嫌がらせ
が行われており、それが知られるに
至ったのは、以前にセラフィールドの
人材関連の職務を下請けで行っていた
Alison McDermottの勇気ある内部告発
によるものだ。McDermottはインタ
ビューで、セラフィールドを相手取った
訴訟を行ったところ筆舌に尽くしがたい
いじめを受けたと語っている。
*************************************

「目をつむれ!」って ・・・

われ思うに、柏崎刈羽原発のテロ対策の
ずさんさの報道などを思い返すと、
TEPCOもセラフィールドのことを笑え
ませんよね。
どの企業も核関連組織も、いじめや
嫌がらせといった大人のやることじゃ
ない悪事に費やす時間や労力があるの
なら、しっかりとテロ対策や安全性
向上に努めてほしいものです。

では続けて、The Guardianの
すっぱ抜きを:
*************************************

Sellafield: ‘bottomless pit of hell, money
and despair’ at Europe’s most toxic
nuclear site
(セラフィールド: ヨーロッパで
もっとも有害な核施設は、悲惨とカネと
絶望の底なし沼)

核のナルニア <C. S. Lewisの
「ナルニア国物語」の部隊。映画にも
なりましたよね> として知られるこの
セラフィールド核施設は、<イング
ランド北部の西海岸にある>
カンブリア地方の財源となっている。
だが長年、国際的に安全面での懸念対象
でもあり続けているのだ。

– セラフィールド核施設、ロシアならび
に中国と関係する集団からのハッキング
を受ける

Anna Isaac記者、Alex Lawson記者

<写真キャプション ― セラフィールド
が核ゴミの受け入れを始めたのは1959
年のことだった、とあります>

2023年12月4日

放射性物質の漏出なら、ウィンズケールでは過去に実際に発生しています

ヨーロッパで最も有害な核施設である
セラフィールド。そこを初めて訪れた
閣僚たちはまごうことなく、この施設
の抱える課題を認識する。

英国の外務大臣を以前に務めた人物は
セラフィールドを「悲惨とカネと絶望
の底なし沼」と呼んだ。この施設が
あまりにも巨額のカネを吸い込むため、
他の多数のプロジェクトを衰退に追い
込んでしまった。そうした各種
プログラムが成功していれば、この地の
経済は潤っていたはずなのだが。

従業員たちにとっては、セラフィールド
は憧れの場であるとともに、恐怖の対象
でもある。

「セラフィールドで仕事に就くという
のは、別世界に入り込むようなものだ。
なにしろ、それは核のナルニア国みたい
なものだから」 と、ある上級従業員は
述べている。「ただ、<Lewisの
ナルニア国物語のように> 収納家具
からナルニアに入り込むのではなく、
銃を持った警官たちがパトロールして
いる中でチェックポイントを通って
入るのだが」 他の従業員たちは、
セラフィールドのことを核のディズニー
ランドと呼んでいる。

<写真キャプション― 冷戦時代の
核兵器競争の産物で、1947年に核兵器
開発のプルトニウム製造施設として
出来たものだ、とあります。世界初の
商用規模の原発だったコルダー ホール
原発も1956年にこの地に出来、2003年
に発電を終えた。>

発電しない実用原子炉カルダーホールの概略図、再掲

セラフィールド <旧名はウィンズ
ケール、上の黒いメニューで
ページd-1) を参照> は、災害と賛否
両論の渦巻く施設でもあった。災害の
実例として、1957年にはウィンズ
ケール火災が発生。その当時、この
火災はヨーロッパ史上最大の核災害と
認められていた。そこからの有害な
煙はヨーロッパ大陸全土にも広がって
しまった。200平方マイル <およそ
520平方km> に及ぶカンブリアの
牧場で乳牛からとった牛乳は、
放射性牛乳として排斥された。

セラフィールドが放射性ゴミの処分場と
してその種のごみの受け入れを開始した
のは、1959年のことだ。それ以来
今までに、核燃料棒からスクラップに
なった金属に至るまで、何千トンという
ゴミを受け入れてきた。そうしたゴミは
コンクリート製のサイロや人工の池、
密封された建物に収められている。
老朽化している建物の安全性を保ち、
さらに有害なゴミを入れる新たな施設を
建設するため、新しい作業プログラムの
実施が絶えず必要だ。そうした施設は、
少なくとも2030年までは操業を続ける
見込みだ。

例によって、すごいカネを ・・・

 

施設を運営しクリーニングするための
費用も、うなぎ上りだ。セラフィールド
の維持にはあまりにも多額の経費が必要
で、予算担当の役人たちはそれを財政上
のリスクの1つと見なしている。英国中
の核施設のクリーニングに要する費用は
最新の推定によれば2,630億ポンド
<およそ47兆3,400億円> で、
その中でもセラフィールドが圧倒的に
大きなシェアを占めている。ただし
その経理処理に手を加えることで
1,000億ポンド以上を他の項目に移す
ことも可能だ。これは、英国の年間の
総債務よりも巨額である。また
セラフィールドの諸施設を廃止処理
するための費用も膨らみ続ける債務
であり、しかもこの債務は英国の
純負債には算入されてはいない。

セラフィールドを所有しているのは、
エネルギー安全保障省 (Department for
Energy Security) が資金出資している
特殊法人の原子力廃止措置機関
(Nuclear Decommissioning Authority)
とNet Zeroで、後者は全英に17か所
ある核施設のクリーニングを請け負って
いる。

セラフィールドに勤務している従業員は
11,000人にのぼり、専用の鉄道路線も
有している。専用の洗濯サービスもあり
放射性物質で汚れた衣類と、そうでない
衣類とを扱っている。またこの施設専用
の警察部隊まであって、警察犬が80頭
以上もいる。施設の建物は、1,000棟を
超えている。

放射性 子猫

 

セラフィールドから環境への悪影響が、
かなり昔から問題にされてきている。
当地のツバメなどの動物を検査して
みると、セラフィールドからの放射性
物質の痕跡が発見された。また施設に
暮らす野良猫たちは「放射性小猫」が
実際にどこまで有害なのか、現地周辺
では論争が絶えない。セラフィールド
施設の主張では、野良猫の放射性物質を
検査したうえで安全なものを保護して
いるそうだ。

この施設で何が行われているのか、
それを諸国が賢明に凝視しており、
そうした国々としてはアメリカ、
ノルウェー、アイルランドも含まれる。
これは、セラフィールドには世界最大
量のプルトニウムが保管されており、
しかもイタリアやスウェーデンなどの
諸国からの核ゴミも受け入れている
ためだ。

ノルウェーの人たちはかなり昔から、
セラフィールドでの事故が及ぼす
被害を気に病んでいる。モデル作成の
結果を見ると、セラフィールド方面
からは南西からの風が吹いていること
が多く、そのためこの施設で大規模
事故が発生した場合には、放射性粒子
が北海を超えて飛来し、ノルウェーの
野生生物や食料生産にまで壊滅的な
被害を及ぼす恐れがあるのだ。

ノルウェーとアイルランドも、
セラフィールドから海中への
テクネティウム – 99 という放射性
金属元素の放出を止める努力に加担
していた。2003年、ノルウェーは
ロブスター関連事業を崩壊させたと
して、国としてセラフィールドを
非難した。

情報筋によるとセラフィールドでの
雇用は、ゴールド チケットのような
扱いを受けることが多い。これは、
この施設で職に就くと契約期間が長い
うえに賃金も平均以上であるためだ。
この地域には、他には大規模の
雇用主が極めて少ない。

英国の「核海岸」の地図
右上の車線部がカンブリア。
カンブリアを拡大したものが、左下の地図

セラフィールドがあるのは、<イング
ランド北西部の> ウェスト カンブリア
に位置する「核海岸」の中心部である。
湖沼地帯 <Lake District、風景に
恵まれた山岳地帯です> 国立公園と
アイリッシュ海との間だ。核海岸の
南端にあるバロー イン ファーネス
(Barrow-in-Furness)では、
BAE Systems社が潜水艦を製造して
いる。セラフィールド近くの土地では
原発の新設計画が長年練られていたの
だが、2018年にそのムーアサイド
(Moorside) 原発計画はお流れに
なった。日本の東芝グループが撤退を
決めたのだ。<東芝の子会社
ウェスティンハウス社の英国子会社
だったNuGeneration社がAP1000と
いう軽水炉 (上の黒いメニューに
ある al-1) 参照) の原発を建てる計画
だったのですが、2017年に
ウェスティンハウスが倒産したことで、
東芝は撤退に至りました。2020年、
EDF社とロールズ ロイス社とがEPR
で (上の黒いメニューにある al-4)
参照) 建設計画を再開しようと名乗り
出たそうです>

セラフィールド施設は、この地域に
とっては重大な財源である。情報筋に
よれば、誰もがセラフィールドに勤務
しているか、勤務者が知り合いにいる
ような親密なコミュニティができて
いるそうだ。

住宅 ・・・ これじゃ、再建は不可能

 

セラフィールドに努める高給取りの
マネジャーたちの多くは、施設の南方
にある田園地帯や自然豊かな村落に
暮らしており、その例として
ゴスフォース (Gosforth) という村
がある。<英国最大の不動産ウェブ
サイトである> Rightmoveによると、
そこでは平均的な住宅の価格は
311,000ポンド <およそ5,500万円>
である。ある情報筋によると施設の
北方にあるウォーキントン
(Workington) 町や ホワイト
ヘイヴン(Whitehaven)町にはこの
施設の平社員たちなどが住み、それ
ぞれ平均的な住宅の価格は133,000
ポンドと155,000ポンドだ。

セラフィールドの前施設長マーティン
チョウン(Martin Chown)は、年収が
330,000ポンドから334,999ポンド
だった。新卒初任給は36,556ポンド、
マネジャーたちは平均で50,000
ポンド、工場のエンジニアたちは平均
的に63,000ポンドだと、Indeedと
いう求人ウェブサイトには出ている。
2022年のイングランド北西部での
平均年収は、国家統計局(Office for
National Statistics)によると30,248
ポンドだった。
********************************

すごいコスト ~~

最後の部分、日本に住む人なら当然の
ように六ケ所村のことを想起します
よね。再処理工場には、ここまで費用
がかさむ ・・・ ま、地域にそれだけ
カネを落とさないと、こんな危ない
施設を作らせちゃもらえません
ものねえ。
こういうバラマキから、現実には
やり取りされているはずの「闇のカネ」
まで計算に入れたら、原発の電気って
とてつもなく高価なもので ・・・

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World Nuclear Industry Status Report 2023
(世界の核エネルギー産業の現状報告書 2023)
から抜粋・日本語化して紹介しています。

「やかんをのせたら~~」のフォーカス
であるproliferationに関するページ、
pp. 385 – 388のSecurity and Proliferation
という箇所の紹介です。

上の黒いメニュー(項目は基本的に
アルファベット順)で、add-5) を クリック!

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西側がRosatomから核燃料など購入しているので~~

FOX Business
New report shows Russia raking in revenue from state nuclear company (msn.com)

New report shows Russia raking in
revenue from state nuclear company
(ロシア [政府・軍]、ロシアの国営
核企業から資金を調達と、新たな報道)

泥沼化しつつあるウクライナ戦争ですが
西側諸国もロシアに公式には経済制裁
を加えながらも、核燃料はロシアの
Rosatomから輸入を続けていたりして
います。

裏で結びつく ・・・

そのため、アメリカは自国内での
HALEU燃料製造に務めようとしてます
よね。(右の「アーカイブ」で2023年
12月をクリック ⇒ 「プライス・
アンダーソン法の再承認・ ~~」を
お読みくださいな)
で、そのRosatomの収益がロシアの
ウクライナ侵略への軍資金になっている
という報道です。結局、「平和利用」
などという言葉がどうであれ、現実には
核発電と軍事が不可分であるという
事実の、新たな一例ですね

では、いつもどおり
私の抜粋・日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です。

******************************
New report shows Russia raking in
revenue from state nuclear company

Chris Massaro記者
2023年12月9日(JST)

Foundation for the Defense of
Democracies (FDD) <「民主主義防衛
財団」とでも日本語化すれば良いので
しょうが、日本語名称は現時点で
見当たりません。ワシントンDCに本部
を置く、アメリカの非営利団体です>
が発表した新しい報告書を見ると、
ロシアの国営核エネルギー企業
Rosatomが今もなおロシア政府にとって
の主な収入源の1つである様子が
浮かび出る。ロシアのヴラディミール
プーティン大統領がウクライナへの
侵略を続けるうえで、資金面での力と
なっているのだ。

カネを喰らうやつが、とんでもないヤツで~

Radioactive: Executives from Russia’s
Rosatom Corporation May Qualify for
U.S. Sanctions <放射線のように
有害なロシアのRosatom社のエグゼク
ティブは、アメリカによる制裁対象と
すべき可能性> というタイトルのこの
報告書によれば、ロシアのウクライナ
侵略を受けてアメリカとEUは対ロシア
制裁を強化したが、その反面で両者とも
Rosatomから核製品やサービスを17億
ドル購入した模様だ。さらにRosatom
はロシア軍に各種の重要なコンポー
ネント類を提供するなどしており、
それらは戦場でウクライナの兵士や
非戦闘員を殺害するために使用されて
いる。

バイデン政権はこれまで、Rosatomへ
の制裁には難色を示してきた。これは
核エネルギー市場を攪乱してしまう
のでは、という不安からだ。アメリカ
とそのヨーロッパの同盟諸国は、自分
たちの必要とする核エネルギーを入手
するうえで、部分的にRosatomに
頼っており、Rosatomが原子炉から
ウラニウム燃料サイクルに至るまで
重要な核技術を供給している。Energy
Information Agency <エネルギー
情報庁> によると、2022年には
アメリカが購入した採鉱・加工済み
ウラニウムのうち12%、濃縮ウラニウム
の24%がロシアから購入したもので
あった。 .

アメリカがプーティンの資金源を断ち
たいのであれば、バイデン政権は
Rosatomに目を向けるべきだ。

だれか、とめてくれ!

「バイデン政権は、ロシアの収入減を
減らすよう努めなければ。それには、
ロシア政府にとって大きな収入源である
核エネルギーも含まれる。アメリカ政府
はまずRosatomの経営陣に制裁を科し
ウクライナ侵略の対価をロシアは払わ
ねばならず、それは戦争の終結後も続く
ぞ、という合図を明確にすべきだ」
Fox News Digitalにそう語るのは、
<冒頭で言及した> FDDで核不拡散
とバイオ防衛のプログラムを担当する
シニア ディレクター Anthony
Ruggieroだ。ここで取りあげている
報告書の共著者でもある。

そのFDD の報告書は、大統領命令の
14024によりアメリカはRosatomを
制裁対象とすべきだと断言する。
これは「ロシア連邦政府による有害な
対外活動との関連での、資産凍結」と
いうもので、2021年4月にバイデン
大統領が署名したものだ。

アメリカ国務省のあるスポークス
パーソンが Fox Businessに述べた
ところでは、「将来の制裁対象に
ついては検討も議論も行わない」と
いうことだが、「国務省は既に
Rosatomの関係者数名に制裁を
科しており、これは大統領命令
14024によるものだ」とも語って
おり、そうした制裁をFox
Businessに紹介した。

バイデン政権も、目を向けつつある。
この報告書によれば、この2月に
アメリカはロシアの核エネルギー
関係ならびにRosatom関連の個人と
法人とを制裁対象に指定している。
だが専門家たちが力説するところ
では、アメリカはさらに歩を進め、
Rosatomの監督者たちと経営陣との
14名全員を制裁対象にすべきだ。
これに対し英国は同社の経営陣全員
を制裁対象としており、各個人に
Rosatomとのつながりがあること
を明示している。

「喰われたカネ」は、どこかに流れていく

FDDで核不拡散とバイオ防衛の
プログラムを担当するディレクター
代行のAndrea Strickerは、今回の
報告書の共著者でもある。その
StrickerがFox News Digital に語った
ところでは、「今回の <ウクライナ
での> 戦争は長引いており、そこ
からもロシア政府への収入減を西側
が適切に枯渇させていないこと、
そのためクレムリンを停戦に追い
込めずにいることが浮かび上がる」

Strickerはさらに「Rosatomから核商品
を買い続けることで、バイデン政権と
そのヨーロッパの同盟諸国は、一方で
ウクライナが早期に決定的な勝利を
得られるよう支援しながら、もう一方で
そうした努力を無駄にする行動をして
しまっている」とも述べている。

Rosatamの取締役会を構成しているのは
現職あるいは前職の政府安全保障部門の
高官で、プーティンの側近たちだ。
2016年からRosatomの理事長を務めて
いるAlexey Likhachevは以前にはロシア
外相でもあり、アメリカはまだ彼には
制裁を科していない。Likhachevは
Rosatomの顔として表に出ており、
今回のFDD の報告書によると
Likhachevは世界を頻繁に旅して各国
政府に、地政学的な現実やウクライナ
でのロシア軍による残虐行為を忘れ、
ロシア政府との取引を維持・発展
させよと要請している。

ほとんど恐喝じゃないの!
私の昔の10分クロッキーに彩色したもの

Rosatomはまた、ウクライナ南東部に
あるヨーロッパ最大の原発である
ザポリージャ原発の稼働を監督して
いる。今回の戦争の初期段階で同原発
において戦闘が行われたが、そのため
多数の人たちが核の破局的事態の
発生を恐れた。

Rosatom は今もロシア政府に利益を
もたらしており、また今回の戦争が
始まってから2回目の冬が近づくに
つれウクライナでは非戦闘員の
死亡者数も増大を続けている。
少なくても10,000 名の非戦闘員が
死亡、負傷者は18,500名を超えると
国連は発表している。

このFDD報告書によれば、ウクライナ
での惨状を理由にロシアとプーティン
の責任をアメリカが本気で問いたいので
あれば、Rosatomを制裁対象とする
ことでロシアにも世界にも「本気だ」と
いう合図を送ることができる。
ウクライナでの戦争犯罪は容認される
ものではない、という合図である。

「バイデン政権は、対ロシア制裁の
抜け穴を塞ぎ、ウクライナを支援すると
ともにRosatomからの収入をロシア
政府から奪うべきである。さらにそれに
より、ロシアがウクライナの原発を占拠
しておりその安全やセキュリティを
脅かしているのは深刻な結果を招くと
いうメッセージをはっきりと伝えること
になる」とこの報告書には記されて
いる。

・・・以下略
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ずっと先まで見ていないと~~
私の点描練習

核産業がいったんできてしまうと、
簡単には取り壊せなくなります。
今回のような侵略者への資金拠出元
という事態になっても。
私たち反核勢力は、そんな核産業の
廃絶後の問題も考えていないと
いけませんよね。
廃炉作業による収益や雇用、
核発電業界から再生可能エネルギー
業界への転職、
などなど。

こうした面も考えると、反核運動は
腰を据えて長年続けていかないと
いけませんよね。

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